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特集まとめ:高まるCISOの重要性

最大500人参加、期間は10年以上--経理標準化プロジェクトが最終工程に進むLIXILの戦い

石田仁志 藤代格 (編集部)

2021-08-02 07:00

 国内の主要な建材、設備機器メーカーであるトステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が統合したLIXIL(江東区、連結従業員数5万6097人)は、誕生から10年目を迎えている。水回り製品を中心に展開する「GROHE」「American Standard」といった世界的なブランドを傘下に150カ国以上で事業を展開しており、水回りから玄関、ドア、窓、建材までほぼ住宅一棟分の商材を扱う。世界でも珍しい事業形態の総合住宅設備、建材メーカーである。

疎結合で会計システムを統合

LIXIL 経理財務本部 経理システム推進室長の濱邉氏
LIXIL 経理財務本部 経理システム推進室長の濱邉氏

 LIXILでは発足時、それまでの上場会社5社のシステムを即座に統合するのは難しいとの経営判断から、会計システムのみを統合。LIXIL 経理財務本部 経理システム推進室長の濱邉常夫氏は、基幹システムは異なるが会計周りだけ統一するという「疎結合」のような形と表現する。2011年から2012年にかけて統合会計システムを導入、会計帳簿を統一し、その後に基幹系システム統合に向けた取り組みを開始した。

 会計システムの統合はOracleの統合基幹業務システム(ERP)製品でおこなわれたが、基幹系システム全体の統合では、グローバル展開や将来的なシステム拡張なども考慮し、SAPのERPをベースとした新たなシステムへの統合を決定した。濱邉氏はSAPを選択した理由に、グローバルで採用されているスタンダードな仕組みであることを挙げる。

 「メインフレームを活用することが多い基幹システム特有の問題として、開発を担当したエンジニアが高齢化していくとメンテナンスが難しくなるという課題があるが、SAPであれば詳しいエンジニアがたくさんいるので人材問題を回避できる。また、海外の関連会社の多くがSAPを採用していたことも判断材料の1つになった」(濱邉氏)

 その結果、LIXILでは2014年にSAPのERP導入を軸とした基幹システム刷新の「L1プロジェクト」が立ち上がった。当初同プロジェクトでは“As Is”から“To Be”、つまり垂直的で一括した立ち上げを目指していたが、リスクの高さから統一化による業務標準化が先行していた会計の部分からシステム導入を始め、金属事業、住設(水回り)事業と段階的に移行する形に落ち着いた。2016年6月、濱邉氏をリーダーとする「経理標準化プロジェクト」が発足し、1年に1つ大型なシステムを展開していくようなスケジュール感で取り組みを開始した。

IFRS対応から業績管理まで段階的に導入

 経理標準化プロジェクトにおける最初のステップは、国際会計基準(IFRS)への対応だった。いったん統合した会計システムは日本基準に準じたもので、「多くの日本企業同様、日本基準の帳簿を調整してIFRSに合わせていたが、業績管理自体をIFRSベースにするという経営方針があったので、IFRS用の帳簿がどうしても必要だった」と濱邉氏は振り返る。

 2017年7月からのテスト稼働を経て、2018年4月に「SAP ERP Central Component 6.0(ECC 6.0)」の「FI(Financial Accounting、財務会計)」モジュールの中のサブモジュールの一つとなる「FI-GL(General Ledger、総勘定元帳)」が稼働を開始。1年間かけて国内関係会社への展開を進め、2019年4月に導入が完了。まずはIFRS対応の基盤が整い、経理業務の標準化が達成された。

 そこからは、業務を効率化させるためのシステム導入が展開された。2020年7月に「FI-AP(債務管理、支払い)」サブモジュールを導入し、支払い業務の切り替えを全社一斉で実施した。

 その後、同年12月から2021年1月の年末年始に、SAPのバージョンをECC 6.0から最新の「SAP S/4HANA」へと移行。さらに4月には、データの自動収集などで会計の統一などに貢献するコンポーネント「SAP S/4HANA for central finance」をS/4HANAでのグループ経営管理基盤として導入し、暫定的に複数稼働している基幹システムの会計管理基盤を構築。まずは経理標準化プロジェクトの第1フェーズが完了している。

経理標準化プロジェクトのロードマップ(出典:LIXIL) 経理標準化プロジェクトのロードマップ(出典:LIXIL)
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