英政府のIT支出の半分近くはレガシーシステムを維持するために費やされており、その額は年間23億ポンド(約3500億円)にものぼることが明らかになった。
レガシーシステムを稼働させ続けるための費用に焦点を当てた英内閣府の報告書によれば、この金額は、英政府の2019年のIT支出総額である47億ポンド(約5100億円)の約半分にあたるという。
「政府のセキュリティ部門による最近の分析によれば、現在、政府のIT支出の50%弱(2019年の中央政府の総支出47億ポンドのうち23億ポンド)が、時代遅れになったレガシーシステムを『そのまま維持する』ための活動に費やされており、今後5年間で130億~220億ポンド(約2兆~3兆3000億円)の支出になる危険があると推計されている」と報告書では指摘している。
この報告書で強調されているように、政府の技術的負債(最終的には納税者が負担している)には、時代遅れのレガシーシステムを使って提供されている重要な業務サービスが含まれており、そうしたシステムは、陳腐化した技術プラットフォーム上に構築されていたり、現在では広くサポートされていないプログラミング言語を使用していることが多い。
報告書では、費用以外にも、サイバーセキュリティ上のリスクが増大する問題や、行政がリスクを冒して新しいITシステムに投資するよりも「使えはするがいまいち」なものを維持する方を選びがちであるために、新たな政府サービスを導入できないという問題があるとも述べている。
また、「一部の各省庁が実施するサービスは、最低限のサイバーセキュリティ基準さえ満たしておらず、レガシーシステムから有益なデータを抽出することもできない」とも指摘している。
報告書では、特にIT支出がもっとも大きい内務省を取り上げ、「12ある大規模なレガシー業務システムを1つも廃止できていない」ととがめた。