NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)はAmazon Web Services(AWS)と提携し、米国時間9月9日に開幕した2021~2022年のNFLシーズンから「Next Gen Stats」ツールに新たな統計情報を追加した。
NFLは、AWSの機能を活用する「Next Gen Stats Decision Guide」によって、フォースダウンとツーポイントコンバージョンの分析を新たなレベルに引き上げようとしている。
フォースダウンは、試合における意思決定者が日曜日に下す決断の中で最も難しい部類に入る、そして最も議論を呼ぶものだ。このためNFLは、AWSと分析テクノロジーの力を借りて、こうした意思決定に対する洞察をファンに提供することにしたのだという。
NFLのNext Gen Stats担当バイスプレジデントであるMatt Swensson氏が米ZDNetに語ったところによると、Next Gen Stats Decision Guideは「Amazon SageMaker」を用いた一連の機械学習(ML)モデル上に構築され、フォースダウンとツーポイントコンバージョンに関する意思決定をリアルタイムで分析するという。
同氏の説明によると、この意思決定は2つの主要要素に着目したものだという。1つ目は、それぞれのイベントの結果を仮定した際に、試合がどの程度変化するのかを表す勝利の確率だ。そして2つ目は、コンバージョンの確率であり、オフェンス側がフォースダウンギャンブルを選択する、あるいはツーポイントコンバージョンを狙いにいける可能性を示すものだ。
Swensson氏は「フォースダウン時の意思決定の指針は、他のモデルを利用することで機能するという点で興味深い。われわれは情報を導出できる基となるレベルの統計情報を既に有していた。そして、導出した統計情報に基づいてモデルを生成してきた。現在では、より多くのモデルを用いてさらに詳細な指標を作り出しているという点で階層構造になっている」と述べた。
「特定チームのある試合時点における勝利の確率と、あるプレーでコンバートできるかどうかに関するコンバージョンの確率を組み合わせている。これにより基本的に、『チームはギャンブルを選択するべきか?』や『パントすべきか?』『フィールドゴールを狙える場所まで進んでいるのか?』といった疑問に確率で答えられるようになる」(Swensson氏)

NFLによるフォースダウンの指標(例)が示されたスクリーンショット
提供:NFL
こうした統計情報はコーチのためのものというよりも、チームのコーチがどのようにして意思決定に至るのかを知りたいと考えているNFL Networkチャネルや放送パートナー、ファンのためのものだ。
一部の試合では、NFLは放送局の依頼に基づき、AWSによってはじき出された統計情報や確率情報を共有することになる。
Swensson氏は「コーチは今でも直感や、サイドラインの外で使用している意思決定カードを頼りにしているが、われわれの取り組みによってそういったものが定量化され、確率の上では不利な意思決定が下される理由についてファンがより理解できるようになってきている」とも述べた。
Swensson氏は米ZDNetに対して、最も興味を抱いたのは、さまざまなコーチがフォースダウンにどのようにアプローチし、どのような意思決定を下してきたのかという2016年にまでさかのぼる分析を目にしたことだと述べた。