富士通、東大病院と臨床研究--AIが心電図から心臓の動きの異常を推定

大場みのり (編集部)

2021-10-11 13:21

 富士通は10月11日、心電図のデータから心臓の動きの異常を推定する人工知能(AI)について、有効性を検証するための臨床研究を東京大学医学部附属病院(東大病院)で実施すると発表した。期間は、2021年10月25日から2022年3月31日まで。このAIは、心疾患の早期発見を目的に東大病院と共同で研究開発された。

 富士通と東大病院は2019年12月から、同病院で受診した患者の心電図検査のデータ約63万件と心臓超音波検査(心エコー検査)のデータ約14万件を活用してAIの研究開発を行い、心臓の動きの異常を高精度で検出することに成功したという。

 臨床研究では、東大病院内に心臓の動きの異常を検出するAIを搭載したサーバーを設置。心電図データを蓄積したサーバーと接続して患者の心電図を解析し、異常の有無を推定する。AIが「異常あり」と推定した患者には、心エコー検査を行った上で医師が心疾患の有無を判断し、AIの有効性を検証する。

 両者の役割は、富士通がAIを搭載したサーバの設置と運用、東大病院が患者の心電図データのAIへの入力、AIの有効性の検証を行う。

 日本人の死因の第2位である心疾患の診断には、心臓の電気パルス信号の波形を基に心筋の異常や脈の乱れを検出する心電図検査が広く用いられている。だが、心電図のみを用いて心臓の形や動きの異常を捉えることは難しく、医療の現場では心電図検査結果に加え、患者の自覚症状を基に医師が聴診器で心音の異常を検知した後、心エコー検査を行うことなどで検出している。

 心エコー検査は専門の医師や臨床検査技師がいる限られた施設でしか行えないといった理由から、全ての患者を検査することが難しいという実態がある。そのため、早期発見がしにくく、発見した時には既に疾患が重症化しているケースもあるという。

 富士通は、今回の臨床研究の成果を基に心臓の動きの異常を早期に検出できるソリューションの研究開発を推進し、重症化予防に貢献する。また、東大病院との共同研究を通して、今後もさまざまな心疾患を検出するAIの研究開発に取り組む。その成果を医療現場で活用できるようにすることで、人々のウェルビーイングな暮らしを支援する「Healthy Living」を推進するという。

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