日立製作所は10月12日、「音声テキスト化クラウドサービス」の販売を11月10日に開始すると発表した。デジタルシフトやテレワークを推進するコンタクトセンター向けに、携帯電話を含めた通話録音データをテキスト化し、クラウド上でのセキュアな一元管理・分析を支援する。
同サービスは、これまで同社が大規模コンタクトセンターを中心に提供してきた音声認識技術を活用した音声テキスト化基盤を「Lumada Solution Hub」から選択したAmazon Web Services(AWS)上に構築し、短期間かつ柔軟に拡張可能なクラウドサービスとして提供するもの。
携帯キャリアの通話録音サービスとのデータ連携も可能なため、拠点型コンタクトセンターの通話データだけでなく、在宅で応対しているオペレーターの通話データも集約してテキスト化できる。テキスト化したデータはデジタル情報として扱えるため、会話内容の検索や、さまざまなアプリケーションとの連携・分析が可能になる。
音声テキスト化クラウドサービスの概要(出典:日立製作所)
例えば、通話内容の可視化によるサービス品質の向上や会話から抽出した顧客ニーズの経営へのフィードバックなどが可能になり、コンタクトセンターのカスタマーエクスペリエンス(CX)向上にも貢献するとしている。
ユースケースとしては、人工知能(AI)を活用して顧客との会話を評価したり、問い合わせの受け付けから解決まで、チャネルや応対プロセスをシームレスに連携したり、通話データと顧客関係管理(CRM)データの両方を活用することで、顧客の隠れた声を発見したりすることができるという。
顧客とのコミュニケーション評価のユースケース(出典:日立製作所)
CRMと通話データを活用したユースケース(出典:日立製作所)
また、音声テキスト化の認識率を高めるための辞書登録、特定キーワードを自動検出するためのキーワード登録などの機能もあわせて提供する。
音声テキスト化クラウドサービスの参考価格は、コンタクトセンターの席数が50席で1日当たりの通話録音時間が200時間、1年契約で月額350万円から。提供開始時期は2022年1月を予定している。
今後については、音声データをリアルタイムにテキスト化する機能の追加などのサービス強化と、これまでの音声データ活用の概念実証(PoC)で得た成果をもとに音声データの加工や分析を容易にするデータハンドリング基盤の開発などを計画している。