コンタクトセンター市場は大きく変化し、顧客体験(CX)を重視するようになった。コンタクトセンター基盤を展開する米Genesys Cloud Services(Genesys)では、2022年会計年度上半期(2021年2月1日~7月31日)において年間収益250万ドル以上の案件数が「Genesys Cloud CX」「Genesys Multicloud CX」を合わせて前年同期比125%となった。
さらなる拡大を目指すため、同社はLinkedInのAPAC(アジア太平洋)リーダーシップチーム中核メンバーとして活躍したAssaf Tarnopolsky氏を招聘(しょうへい)した。本記事では、ZDNet Japan編集記者・大場みのりによるTarnopolsky氏へのインタビューを紹介する。
Genesys アジア太平洋地区 シニア・バイスプレジデント 兼 ゼネラル・マネージャーのAssaf Tarnopolsky氏
――ご自身の経歴を教えてほしい。
インターネットバブルに湧いていた1990年代、サンフランシスコの企業でキャリアをスタートした。テクノロジーを活用して革新的なこと、あるいは伝統的なことを新しい方法で実現する姿勢に魅了され、現在までキャリアを重ねている。スタートアップ企業もあれば大手企業もあった。APACを拠点にして9年目だが、私自身インターナショナルなバックグラウンドを持っていることもあり、Genesysでのポジションもうれしく思っている。
――LinkedInでは日本を含む複数地域でマーケティングソリューションのディレクターを務めていたが、その経験は日本市場への理解に生きているか。
この6年間は日本市場に注力してきた。LinkedInでは、マーケティングソリューションの日本進出を手掛けていた。日本市場では、「思いやり」の気持ちを込めないと成功しない。グローバル企業が日本へ進出する際に直面する課題だ。同時に日本市場は、素晴らしい可能性を秘めている。成功するには長期的な戦略が必要だが、大規模な事業とロイヤルカスタマーに恵まれるだろう。
――今回ご自身がAPACのシニア・バイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャー選ばれた理由は。
APACなどでアジャイルな企業やイノベーションを追求する企業で働いてきた経験とGenesysの方向性が一致したからだろうか。私がGenesysに興味を持ったのは、革新的かつ技術的に進んでおり、APACに注力してきたから。当社はAPACと連携して成長することを目指す。
――APACの消費者や顧客企業特有の需要はあるか。
コロナ禍でも消費者の期待度は変わっていないが、アクセスの観点では柔軟性を求めるようになってきている。SNS、チャット、ウェブ、電話など、さまざまな方法で企業とやりとりすることを望んでいる。より重要なのは共感性。消費者の79%がカスタマーサービスにおいて自身のニーズを理解してもらうことを求めている。77%が話を聞いてほしいし、74%が自分の時間が大事にされていると実感したいと思っている。
企業側も消費者が求めているカスタマーサービスを提供したいと考えている。そのためには柔軟性のあるクラウドのCXソリューションが必要だ。企業はカスタマーサービスの担当者(CSR)を輝かせたいとも思っている。われわれのエージェントアシスト機能は、顧客との通話をリアルタイムに書き起こし、会話の状況に応じて自動更新される情報を提案する。