「Microsoft Dynamics 365」は米国時間11月1日、公開から5周年を迎えた。Dynamics 365はこれまで、ブランディング、価格設定、パッケージングなどの長い道のりを経て大きく進化し、顧客関係管理(CRM)や統合基幹業務システム(ERP)などのタスクを扱う一連のモジュールへと拡充され、今日の形となった。
提供:Microsoft
Microsoftは、11月2日から開催しているITプロフェッショナル向けイベント「Microsoft Ignite」で、「Dynamics 365」と「Microsoft Power Platform」について複数の発表を行っている。
以前「Dynamics 365 Connected Store」とされていた「Dynamics 365 Connected Spaces」のプレビュー版を発表した。小売業界の効率化を支援するするサービスとして想定していたものからすべてのスペースへと拡大されることを表しているという。また、カスタマーエンゲージメントソリューション「Microsoft Customer Experience Platform」を発表した。「Microsoft Dynamics 365 Customer Service」のファーストパーティーの音声チャネルの一般提供も発表された。音声チャネルが加わることで、オールインワンのデジタルコンタクトセンターとなる。さらに、サプライチェーンをプロアクティブに管理できるようにする「Dynamics 365 Supply Chain Insights」のプレビューリリースも発表されている。
Ignite IT Proで、顧客やパートナーの観点から、恐らく最も大きな発表の1つだといえるのは、「Microsoft Power Apps」への従量課金制ライセンスオプションの導入だ。
Power Appsは2021年9月まで、価格やライセンス体系が複雑だった。MicrosoftはPower Platformのユーザーベースを拡大するため、Power Appsの大幅な値下げを実施すると発表している。Power Appsのユーザーごとのプランは、1ユーザーあたり月額40ドルだったが、10月1日より20ドルに値下げされた。Power Appsのアプリごとのプランは、1アプリ1ユーザーあたり月額10ドルから5ドルになった。
さらに今回、「Microsoft Azure」のサブスクリプションを利用する、Power Appsの従量課金プランを導入している。現在はプレビューとなっている。これまで、開発者はPower Appsのデプロイを準備する際、まず前払いでライセンスを購入する必要があった。従量課金制のプランでは、Azureサブスクリプションを利用し、使用した分だけ支払うことが可能になる。
また、Dynamics 365とPower Platformは今後、Azure、「Microsoft Teams」「Office 365」/「Microsoft 365」、その他の「Microsoft Cloud」の機能との統合が一層進む見通しだ。Microsoftは2021年に入り、Teams、Office、OutlookとDynamics 365の連携を強化する計画を発表している。
Microsoftはこうしたアプリ間の新たな連携機能のプレビュー提供を進めており、「Microsoft Search」を使ってビジネスデータを見つけ、そのデータを、「Microsoft Outlook」とTeamsで、組み込まれた「Fluid」コンポーネント(「Loop」コンポーネント)に送るといったことが可能になる。
またMicrosoftは、Microsoft 365向けに発表した「Context IQ」の機能をDynamics 365にも拡大しようとしている。
このほか、MicrosoftはIgniteで、さまざまな業界別クラウドのバンドルのマイルストーンとなるアップデートを発表している。金融サービス向けの「Microsoft Cloud for Financial Services」の一般提供が開始され、製造業向けの「Cloud for Manufacturing」は現在プレビューとなっている。持続可能性(サステナビリティー)にフォーカスした「Cloud for Sustainability」は先週パブリックプレビューが発表された。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。