日本マイクロソフトは11月18日、記者説明会を開催し、10月5日に提供を開始したWindows 11の機能や国内展開、年末商戦に向けたキャンペーンの概要を紹介した。執行役員 コンシューマー事業本部長の竹内洋平氏は、Windows 11について、「Windowsは35年に渡り、生産性向上を支えてきた」と述べつつ、購買施策やパートナー企業の各種キャンペーンを通じて、これから迎える冬商戦を勝ち抜く姿勢を見せた。
Windows 11のPCを本格展開させていくパートナー各社の代表
コロナ禍以前はスマートフォンの台頭に伴い、PCの出荷台数減少が大きな課題となっていた。だが、リモートワーク環境の急速な整備などを背景に、2020年度の国内PC出荷台数は、前年比12.9%増の1728万3000台(MM総研調べ)に拡大。一方で、電子情報技術産業協会(JEITA)10月21日に発表した「パーソナルコンピューター国内出荷実績(2021年9月分)」では、前年度比46.4%の67万3000台と大きく縮小していた。
リモートワークや政府の「GIGAスクール構想」に伴うPC需要が一段落したとも読み取れるが、日本マイクロソフトが提示した自社調査では、PCを利用する時間が29%拡大し、利用者数も18%と拡大。リモートワークなどに伴うオンライン会議の利用時間は89%増、スマートフォンではなくPCを利用する割合が67%まで増加したとする。
竹内氏は、Windows 11でユーザーインターフェースの改良に注力したとし、OSの基本機能さながらに、操作性や利便性の向上に務めていると説明した。デスクトップサイズに基づいて、ウィンドウを配置する「スナップウィンドウ」機能や、背景画像を個別に指定できる仮想デスクトップなど、改良点は少なくない。だが、企業や組織が従業員向けPCのOSをWindows 11に移行させるかどうかはまだであるようだ。少なくとも既存システムや社内アプリケーションの動作検証が必要になる。
ただ、猶予の時間は決して長くはなく、Windows 10 バージョン2004が12月14日、Windows 10 バージョン1909 Enterprise/Educationも2022年5月10日にサポート終了を迎え、セキュリティ更新プログラムや品質更新プログラムが提供されなくなる。Windows 10を延々と使い続けることは難しく、情報システム部門では先日公開されたばかりのWindows 10 バージョン21H2と合わせて検証に取り組み、早期のWindows 11への移行スケジュールを策定すべきだろう。
パートナー各社のWindows 11搭載PC
商戦期に向けた施策では、既に10月5日からテレビコマーシャルやオンライン広告など、Windows 11搭載PCの購買や移行施策を行っている。コロナ禍のため、マイクロソフトなどは今春からオンライン接客を実施しているが、「5点満点中4.9点の評価をいただいた。(これまでSurfaceに限定していたが)、今後はパートナーのデバイスにも対応する。(コロナ禍以前は)イベントでデバイスの魅力を伝えていたが、オンラインが中心となる現在は全国の消費者に対して接客できる」(竹内氏)と、現状に沿った購買や消費者支援に取り組むとした。
日本マイクロソフトが実施中のSurface向けオンライン接客。デバイス購入前の顧客に対して助言する
また、「日本は独自のマーケティング展開を許されている唯一の国」(竹内氏)として、小中高校生向けに大手量販店の店頭での展示やデモンストレーションの実施、ベネッセと協業した「進研ゼミこども大学セミナー」「なるりMusic Video作らナイト」などの施策も展開するという。