マイクロソフト、教育向け「Windows 11 SE」を日本でも本格展開

阿久津良和

2021-11-26 06:30

 日本マイクロソフトは11月25日、米国で現地時間11月9日に発表した「Windows 11 SE」「Surface Laptop SE」を核とした教育分野への施策について国内での展開などを発表した。国内は中学生までを対象としたOSで、Microsoft 365 Appsをオフライン環境でも利用できる。教育機関向けノートPCとして設計されたSurface Laptop SEは、参考価格が3万6800円と2万7800円の2モデルを11月30日から出荷する。

 同日の記者会見で業務執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部長の中井陽子氏は、「コロナ禍に伴い、世界中で遠隔教育の需要が高まった。Microsoft Educationの利用者数は1年間で1億5000万人以上まで増加した」と紹介し。教育機関専用OSと専用端末を提供する理由について、「多様化する教育現場の需要に応えるため」と説明した。

日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部長の中井陽子氏
日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部長の中井陽子氏

 Windows 11 SEは、Windows 11を初等中等教育の児童・生徒向けに再構成したOSになる。例えば、Windows 11にはデスクトップ上のウィンドウを整理する「スナップウィンドウ」という機能があるが、Windows 11 SEでは、2つのアプリケーションを並べるのみと、機能を制限している。後述するが、Surface Laptop SEのディスプレイ解像度は1366×768ピクセルのため、利用用途を踏まえて機能を制限したようだ。また、動作するアプリケーションはWin32アプリに加えて、「ユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)」や「プログレッシブWebアプリ(PWA)」などの動作が可能とする。ただし、アプリケーションのインストール、高度な機能、設定変更は、生徒や現場の教員ではなくIT管理者によって制御される。そのため授業などに利用したいアプリケーションは、日本マイクロソフトへの事前申請と承認が必要となる。また、「事前にモジュールを(Windows 11 SEに)組み込むことで、授業前のインストールなど現場の課題を未然に回避」(モダンワーク&セキュリティビジネス本部長の山崎善寛氏)する工夫も加えた。

Windows 11 SEの主な特徴(マイクロソフト資料より)
Windows 11 SEの主な特徴(マイクロソフト資料より)

 Windows 11 SEはプリインストールOSとして提供され、Windows 11 SEを搭載した教育機関向け端末を日本マイクロソフトのOEMパートナーが提供する形になる予定。Windows 11 SE搭載PCの1つが、Surface Laptop SEになる。特徴的なのは、「要望の多かったバッテリー時間。最大16時間駆動するため、学校から持ち帰った後も宿題などに利用できる」(Surfaceビジネス本部長の石田圭志氏)という。また、PCパーツを容易に交換できる点も特徴といい、従来のSurfaceシリーズでは所有者によるパーツ交換が難しかったものの、予期しない扱いに備えた改良であるようだ。

Surface Laptop SEの主な特徴(マイクロソフト資料より)
Surface Laptop SEの主な特徴(マイクロソフト資料より)
Surface Laptop SEの筐体背面は7つのネジで固定している
Surface Laptop SEの筐体背面は7つのネジで固定している

 Windows 11 SEを搭載するPCは、構成設定を「Windows Autopilot」で展開し、「Intune for Education」でクラウドから端末を管理する。日本マイクロソフトでは、Intune for Educationと「Office 365 Education」「Minecraft: Education Edition」を組み合わせた「Microsoft 365 A1 for Devices」を端末1台当たり4128円(参考価格)で提供する。

 従来の教育機関向けエディション「Microsoft 365 A3」などとは異なり、買い切り型一括購入のみになる。端末の使用期間は最長で6年。サブスクリプション型が主流な現在に買い切り型を用意した理由として山崎氏は、「(端末購入が)自治体負担の場合、前払いの要望が多かったため」と説明した。

 また、Minecraft: Education Editionをパッケージに含めたのは、「プログラミングの授業で使いたいという要望が多かった」(山崎氏)ためという。遠隔授業でも用いられるMicrosoft Teamsでは、児童や生徒の感情を浮き彫りにするアンケート&分析ツールの「リフレクト」や、人工知能を用いた「Reading Progress(音読レベルチェック機能)」を用意。教育機関向け端末の需要ピークを数年先としながらも、政府の「GIGAスクール構想」による環境整備が一段落したようだが、中井氏は、「先進国では(蓄積した知見から)学齢に合わせてデバイスを変えるケースが起きている。われわれはWindows 11 SEのような顧客需要に応えた製品を提供していく」と、今後の需要を見越した取り組みとの点を強調した。

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