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川口市、東京都、堺市--アプリをシェアして業務をデジタル化する自治体の近未来

阿久津良和

2021-11-26 16:37

 サイボウズは11月26日、自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)をテーマとした記者勉強会を開催した。同社の製品やサービスを利用して、DX推進に取り組む自治体は全1718市町村中1200以上にのぼるという。

サイボウズ 営業本部 営業戦略部 公共グループ 瀬戸口紳悟氏
サイボウズ 営業本部 営業戦略部 公共グループ 瀬戸口紳悟氏

 同社は、クラウドベースのノーコード開発ツール「kintone」を提供しているが、営業本部 営業戦略部 公共グループ 瀬戸口紳悟氏は「自治体が作成したアプリケーションを(他の自治体が)最小限のカスタマイズでシステム導入する流れが生まれている」と現状をつまびらかにしながら、「サイボウズの考えるチームワークは自治体にも広められる。官公庁組織に存在する壁を取り除き、相互に情報を渡し合える『シェアするDX』でDXを推進させたい」と今後の展開を語った。

内製しても担当者異動でブラックボックス化しやすい

 総務省が2020年12月25日に策定した「自治体DX推進計画」が示すように、自治体のDX推進は日本が抱える課題の1つである。政府が地方からデジタルを実装し、都市格差の解消を目指す「デジタル田園都市国家構想」など、政府と自治体は一体となってDXの方向を向いている。ここで問題となるのが、民間IT企業でも話題になるIT人材不足である。

 さらに自治体の場合、「たとえば外注時も(自治体の)ニッチな業務に合致するパッケージは存在せず、予算も通りにくい。仮に予算を獲得しても使用できるのは来年度以降になるため、導入や改修に時間を要する。内製時も担当者が数年単位で異動するためブラックボックス化しやすい」(瀬戸口氏)といった課題を抱えてきた。それでも、「自治体でもkintoneを用いたアジャイル型開発が広まりつつある」という。

 kintoneを採用する自治体は2019年に33だったが、2020年は74、2021年は138になった。背景には2019年に両備システムズの「R-cloud proxy for kintone」と組み合わせることで、総合行政ネットワーク(LGWAN)の利用が可能になったことがある。また、2021年にサイボウズのクラウド基盤が「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(Information system Security Management and Assessment Program:ISMAP)」に登録されたことも大きいだろう。

 たとえば埼玉県川口市は、基幹システムを利用しない周辺業務を表計算ソフトなどで処理していたが、代替先としてkintoneを採用。情報政策課が主体となり、各部署の現場に伴走してkintoneでのアプリケーションの開発を支援した。

 自治体側も職員が利用する端末が、LGWANとインターネットを切り替えにくいという要望を受けて、「セキュアデスクトップでシームレスにインターネット端末として利用可能にした」(瀬戸口氏)。現在では公用車運転日報や女性登録状況調査票、給付金の進捗を管理するアプリケーションなど多くの場面で利用されている。

 東京都は2000ユーザーを超えるライセンスを庁内照会業務の簡素化目的で導入した。照会・調査実施部署から各部の庶務担当を通じて主管課に届くメールや表計算集計、帳簿作成といった業務を、新たに作成したkintoneアプリケーションに回答依頼に登録するだけで集計や帳票作成業務を自動化。さらにワクチン接種業務にも使われ、今後は同庁が掲げるフルペーパーレス化にkintoneの活用を予定している。

 大阪府堺市は当初、モバイルワークの基盤としてkintone活用を目指していたが、工事現場などの庁外業務の効率化が大きな課題となり、外部ベンダーとkintoneアプリケーションの開発に着手。一般的な外注と異なるのは、依頼したシステムベンダーが伴走型プログラムを用意しており、現場の声を反映させながらアジャイル型開発に成功した。

 例えば、建築課では調査メモをタブレットで撮影してkintoneに登録する現場調査記録アプリケーション、健康福祉総務課は監査基準の例文をテンプレートから取得する指導監査アプリケーションなど、すでに100以上のアプリケーションが稼働している。

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