日立ソリューションズは、東京海上日動火災保険(東京海上日動)と、貿易における原産地証明書発行業務での書類不備トラブルの対応を支援する、保険が付帯されたソリューションを共同開発することに合意したと発表した。これに基づき日立ソリューションズは、開発したソリューションを「原産地証明書管理サービス プレミアム版」として提供開始した。導入までの標準期間は契約後1か月程度。
原産地証明書発行業務は、自由貿易協定(FTA)を用いて輸出する物品が協定締約国内産(協定国産)であることを企業が証明するために行われる。EPA/FTAで関税の減免を受けるには、輸出する物品が協定国産であることを示し、原産性を判定する「原産地証明制度」への対応が必要となる。
原産地証明制度には、日本商工会議所に申請して原産地証明書の発給を受ける従来の第三者証明制度と、企業が自ら協定国産であることを証明する自己証明制度がある。近年発効された環太平洋経済連携協定(CPTPP、通称TPP11)や日欧経済連携協定(日欧EPA)などでは自己証明制度が採用されており、今後も主流となることが予想されるが、企業が自ら発行する場合のリスクの増加も懸念される。
同プレミアム版では、従来から提供している、貿易管理業務(原産性の判定業務)の体制確立や企業ルールの策定におけるコンサルテーションに加え、万一のトラブルにおいて弁護士や通関士などの専門家と連携して迅速に対応できるよう、発生する各種費用の補償を新たな保険として付帯している。
コンサルテーションでは、システムの導入と組織/業務規程の策定の両面から業務改革を支援することで、原産性判定の体制を確立するとともに、原産性の根拠となる証明書類を一元管理したガバナンス強化と手続きをワークフロー化することで、法令違反リスクを回避して業務効率化を行う。両社は今後、貿易管理業務(原産性の判定業務)の潜在的なコンプライアンスリスクなどを転嫁する保険の共同開発も目指す。