伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、NVIDIAの開発プラットフォーム「NVIDIA Omniverse Enterprise」(Omniverse)の提供を開始した。税別価格は100万円から。デジタルツインや仮想現実(VR)などの技術を活用して業務プロセスの最適化を図る製造業や建設業の顧客を中心に展開し、システム基盤の構築や保守、運用サービスと併せて3年間で10億円の売り上げを目指す。
Omniverseは、工場の最適な生産計画などを事前に検証するシミュレーション機能や、他のシミュレーションソフトとデータ連携する機能を備えており、工場内の作業員や製造ラインに関する安全性や生産性を可視化してプロセスを検証することができる。
CTCは既に、NVIDIAのハードウェアの取り扱い、コンピューター支援設計(CAD)やVRなどの3D画像ソリューションを提供しており、長年のシミュレーション技術で培ったノウハウを生かして、Omniverseを含めたシステム設計から構築、運用サービスまでを支援する。
さまざまな3Dデータを取り込み、仮想空間を複数のユーザーが共同で開発できるOmniverseは、複数ユーザーが共同で3Dデータの編集やシミュレーションをリアルタイムに実施し、効率的な仮想空間の開発や利用を可能にする。
同プラットフォームは、3DデータフォーマットであるUSD(ユニバーサルシーンディスクリプション)に対応しており、異なるツールで作成した3Dデータでも互換性を保ちながらOmniverseに取り込むことができる。CADや3Dデータ作成ツールとも連携するため、ユーザーの端末で作成・修正した内容をOmniverseに素早く取り込み、3Dデータに反映することも可能。これにより、使い慣れたツールの操作性を維持して複数のユーザーが共同作業を進めることができ、迅速に仮想空間を実現できるという。
仮想空間は、光の反射や屈折、影などを精密に表現して実写に近い形で制作できるため、大量の計算を可能にするNVIDIAのGPUと親和性が高く、人工知能(AI)の活用や詳細な描写、スムーズな動作などが期待できる。
工場のデジタルツインに向けたOmniverseの活用イメージ