NECソリューションイノベータとフルタイムシステムは2月8日、商業施設の商品を専用ロッカーで受け取れるサービス「テイクアウトステーション」の実証実験を実施すると発表した。フルタイムシステムは、宅配ボックスなどを展開する企業。実施期間は、2月8日から4月30日まで。
同実証は、千葉県・船橋市の商業施設「三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY」(ららぽーとTOKYO-BAY)で実施され、専用ロッカーは同施設の最寄り駅であるJR南船橋駅前に設置される。
利用者は、対象店舗の商品をテイクアウトステーションの「LINE」公式アカウントで注文し、店舗を訪れることなく注文当日にロッカーで受け取れる。ロッカーは、LINEで通知されたQRコードで解錠する。また、同施設で購入した商品を店舗に預け、配送予約した時間帯にロッカーで受け取ることも可能。これにより、購入した商品を持たずに買い回りをすることができる。購入済みの商品は、配送スタッフが対象店舗から集荷してロッカーに配送される。
実証では、遠隔で温度管理ができる「フルタイムロッカー」を利用し、温度管理が必要な食品などの受け取りも可能。ロッカーは1台設置され、常温ボックス20個、冷蔵ボックス12個で構成されている。対象店舗は、ドーナツ店「クリスピー・クリーム・ドーナツ」とお茶の専門店「LUPICIA(ルピシア)」で、店舗数は随時拡大する予定。
実証期間中は、LINEでポイントを貯めると、ららぽーとの商品券と交換できるキャンペーンを実施する。1回の利用につき1ポイントがLINEに付与され、3ポイントを集めるとららぽーと共通で使用可能な商品券500円分と交換できる。
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新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、消費者は短時間で無駄のない移動や買い物をする傾向がある。そうした中、NECソリューションイノベータとフルタイムシステムは、消費者が商業施設に立ち寄ることなく欲しい商品を購入し、自宅付近や通勤の帰り道といった生活導線上で当日中に受け取れる仕組みについて検討してきた。
ららぽーとTOKYO-BAYでは、利用者から「並ばずに店舗の商品を購入したい」「目的の店舗間に距離があるので、荷物を預けて買い回りがしたい」というニーズが上がっていた。だが、個別の店舗で対応するには限界があり、多数の店舗をまとめる仕組みの構築が必要だった。
そこで、NECソリューションイノベータとフルタイムシステムは、利用者の行動変容に伴う購入体験の向上と商業施設の課題解決に向けて、それぞれの強みであるITとフルタイムロッカーを組み合わせたサービスを開発した。
実証では、NECソリューションイノベータがLINEでの情報配信システム、注文/支払システム、購入済み商品の配送予約システムの提供、フルタイムシステムがフルタイムロッカー本体とロッカー管理システムの提供、ららぽーとTOKYO-BAYを運営する三井不動産グループが参加店舗の募集や場所の提供、集荷スタッフの手配、デジタルサイネージ配信を行う。
NECソリューションイノベータとフルタイムシステムは今後、南船橋エリアだけでなく商業施設や駅、住宅地、スーパー、オフィス、駐車場など、利用者の生活動線上のさまざまな場所にフルタイムロッカーを設置し、利便性の向上に取り組む。
また実証を通して、利用者と商業施設内の店舗双方の手間を軽減し、商品購入時の対面接触機会の削減、購入済み商品を預けた後の利用者の買い回り促進の検証、街全体の購入導線強化の検討を行い、エリアマネジメント事業として本格展開を目指す。
フルタイムロッカーのイメージ