キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は10月4日、スポーツ庁が推進する成長促進事業「スポーツ×テクノロジー活用推進事業」に参画し、スポーツ産業のデジタル変革(DX)を推進・支援していくと発表した。
具体的には、全日本柔道連盟と共に、柔道の魅力をより多くの人に伝えることを目的として、キヤノンが開発する「ボリュメトリックビデオ技術」を活用した新しい楽しみ方や視聴体験を通し、テクノロジーの力でスポーツ産業の成長促進に貢献していくとする。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、スポーツ業界では多くの競技で大会の中止・延期、競技人口の減少、テレビ放映の減少など、さまざまな問題が顕在化している。
キヤノンMJは同事業において、スポーツの場でのDXを推進する支援事業について提案し、「1.試合や大会などの場面での新しい観戦体験の楽しみ方を提供する取り組み」「2.NFT(非代替性トークン)などによるファンエンゲージメントを高める取り組み」「3.DXを取り入れた団体などの収益構造改革に資する取り組み」の3点が採択された。全日本柔道連盟と共に2023年3月末まで取り組む計画である。
その中核となるのが、キヤノンのボリュメトリックビデオ技術をはじめとする先進技術の活用になる。ボリュメトリックビデオは、時間と空間を丸ごとキャプチャーする技術で、現実世界の被写体をデータとして取り込み、3次元(3D)モデル化することで、空間内の自由な位置や角度からの映像生成が可能になるという。
ボリュメトリック映像の撮影シーン(左)とボリュメトリック映像の確認の様子
キヤノンMJによると、柔道は日本を代表する競技の一つとして高い人気を誇りながらも、競技人口の減少やテレビ放映の減少といった課題に直面している。柔道の魅力を改めてより多くの人に発信するため、「グランドスラム東京2022大会」に向けてボリュメトリックビデオを用いたプロモーション映像の制作やNFTデジタルトレーディングカードの配布、360度の自由視点で視聴可能なコンテンツの体験ブースを実施する。
キヤノンMJは、実証事業から得られたノウハウと結果をもとに、スポーツ庁に対し柔道競技以外への展開も見据えた提案を行う予定。同社は「スポーツ界に再び活気を取り戻し、テクノロジーの力でスポーツ産業の成長促進に貢献することをゴールに見据えている」とコメントする。