ガートナージャパンは2月2日、ITベンダーなどのテクノロジープロバイダーを対象にしたビジネストレンドを発表した。顧客や購入者、プロダクト、エコシステム、ビジネスモデル、オペレーティングモデルに対して今後3年以上にわたり影響を及ぼすとしている。
同社は、トレンドを「ビジネスにおけるテクノロジーへの依存度の高まり」「テクノロジーが生み出す新たな機会」「外部のマクロ環境によるインパクト」の3つの点から複数挙げている。ディスティングイッシュト バイス プレジデント フェローのRajesh Kandaswamy氏は、「混乱の中でもデジタル化は進み、そのけん引役がテクノロジープロバイダー」だとし、世界的な景気後退が予想される中でも短期的計画と長期的戦略のバランスを取るべきと述べる。
まず「ビジネスにおけるテクノロジーへの依存度の高まり」では、「テクノロジーの民主化」「企業におけるテクノロジーの連携型購入」「プロダクトレッドグロース(Product-Led Growth)」「コイノベーションエコシステム(Co-Innovation Ecosystems)」をトレンドに挙げている。
テクノロジーの民主化は、IT部門以外の従業員が自らテクノロジーを模索、選定、実装、カスタマイズすること。同社は2025年までに、市場で成功する先進的なテクノロジーソリューションの55%をIT部門以外の組織、人材が調達すると予測する。ITベンダーは、こうした新たな客層や市場にアプローチできるようになるという。
企業におけるテクノロジーの連携型購入は、上記のテクノロジーの民主化に伴うトレンドで、IT部門やビジネス部門などの全体の代表者がテクノロジー購入の意思決定を行うというもの。実際に最近では、IT部門の予算だけで購入されるテクノロジーは26%しかないとしている。ITベンダーの商機拡大になるがビジネスモデルはより複雑になり、その変更対応や、価値創出のシナリオと成果がますます問われるようになる。
プロダクトレッドグロースは、製品やサービスの無料体験などを通じて価値を感じた顧客に有料購入してもらう市場参入戦略の1つ。この形は消費者向けビジネス(BtoC)で先行し、企業間ビジネス(BtoB)でも伸びているとのこと。ベンダーは従来型のマーケティング/営業戦略に比べて顧客獲得コストを削減でき、営業サイクルも短縮できる。
コイノベーションエコシステムは、内外での協働的/共創的なアイデアを融合して新たな価値を創出する発展途上のトレンドになる。ベンダー各社が互いに共有するスキル、専門知識、投資、インセンティブを利用して顧客の緊急的な需要に対応できるようになる。