セールスフォース・ジャパンは4月10日、自動車業界向けサービス「Salesforce Automotive Cloud」の国内提供を開始したと発表した。業界専用のデータモデルを標準装備し、デジタルを活用した次世代の顧客体験を構築できるほか、業界特化の自動化や人工知能(AI)、分析機能などを備える。自動車メーカー、ディーラー、カーファイナンス会社などの活用を見込む。
顧客と自動車のライフサイクルとしては、新車を探す、購入する、融資を受ける、車両を修理するなどの流れが想定される。Automotive Cloudでは、そのライフサイクル全体にわたって顧客の一人一人にあった提案や洞察を提供する。
CRM製品「Salesforce Customer 360」のコンセプトに基づき、自動車業界に特化した信頼できる唯一の情報源を構成するのが「ドライバー 360」になる。業界専用のデータモデルとプロセスで構成され、すぐに使い始められるとしている。
Automotive Cloudの画面イメージ
例えば、「Driver Console」機能では、ウェブサイトでの自動車の閲覧履歴や購入履歴から、購入後の長期にわたるサービスプロセスに至るまでの顧客との一連のタッチポイントとルールに基づいたアラート機能を提供する。これによって顧客とのやりとりを全て可視化し、サービスチームに重要な洞察を提供する。
「Household Management」機能は、世帯での自動車の所有状況や過去の商談の全体像を可視化する。ディーラーなどのパートナー企業は、より顧客に合ったサポートや提案などが可能になる。
また「Vehicle Console」機能を介して、自動車メーカー、ディーラー、カーファイナンス会社の各社が累計走行距離、自動車の査定額、サービスや修理の提供状況などの包括的な車両情報を利用できる。
新しい販売モデルやデジタルに詳しい顧客の期待に応えるためには、販売の促進、在庫の適切な管理、より良い顧客体験の提供など、自動車メーカーとディーラーがこれまで以上に効率的に連携する必要ある。これを支援する機能が「Automotive Lead Management」と「Dealer Performance Management」になる。
Automotive Lead Managementは、車両履歴など個別の顧客に関するリード(見込み客)情報を充実させ、最も価値の高いリードをその顧客が好むディーラーに直接転送できるようにする。顧客の希望、ニーズ、履歴といった情報を一緒に提供することで、ディーラーと自動車メーカー間の連携を促進する。
Dealer Performance Managementは、地域別のディーラーの業績を簡単に分析し、リードの状況を把握できる。これにより、自動車メーカーとディーラーが共通の目標を設定し、販売計画、現地への訪問、パートナーとの連携、需要予測、チャネルインセンティブなどをより適切に管理、調整できるようになる。
このほかにも、車両注文状況の更新や出荷遅延の通知といった業務プロセスとシステム間の連携を容易にするインテリジェントな自動化機能や、自動車会社がビジネス状況をモニタリングして改善するための洞察を提供する強力な分析機能なども提供する。