IBMは米国時間5月16日、データセキュリティ体制管理(Data Security Posture Management:DSPM)を手がけるイスラエルのスタートアップPolar Securityを買収したことを発表した。
パンデミックを受けてクラウド導入が急激に増加したことで、組織は大量のクラウドデータへの対処を余儀なくされた。こうした大量のデータは、サイロ化の拡大と「シャドーデータ」(追跡も管理もされていない機密データ)の増加を引き起こしている。2021年に創業したPolar Securityのテクノロジーは、企業がクラウドやSaaSアプリケーション、データレイク内のデータを発見したり、継続的に監視・保護したりできるように支援することで、増大するシャドウデータの問題に対処する。
DSPMは、イスラエルで研究・開発が進む新興のサイバーセキュリティ分野で、機密データの発見、分類、データフローのマッピングを行い、アクセス権を持つユーザー、データの使用状況を明らかにし、ポリシー違反や設定ミスなど、基本的なセキュリティ体制の脆弱性を特定する技術だ。
IBMは今回の買収の金銭的な条件を明かしていないが、TechCrunchが匿名の情報筋の話として報じたところによると、買収金額は約6000万ドル(約82億円)だという。IBMはPolar Securityの技術をセキュリティ製品「Security Guardium」に統合する考えだ。
Polar Securityの買収は、IBMにとって2023年で5度目の企業買収となる。Arvind Krishna氏が2020年4月に最高経営責任者(CEO)に就任して以来、同社は30社以上の企業を買収し、ハイブリッドクラウドと人工知能(AI)機能を強化している。