アステリアは6月16日、生成AIに対応したノード統合プラットフォーム「新Gravio」を発表した。7月3日に提供を開始する。
「新Gravio」のサービスイメージ
同サービスは、分散しているデジタル機器やエッジコンピューター、クラウドサービスをノーコードで連携する。多要素化、多拠点化するデータを連携させるとともに、データを専用のクラウドサービス「Gravio Cloud」に統合し、管理できる。「ChatGPT」も利用でき、既存データベースとの連携基盤構築に必要な検索命令文を自然言語で自動的に生成し、設定作業を効率化することができるのも特徴だ。
アステリア 代表取締役社長の平野洋一郎氏
代表取締役社長の平野洋一郎氏は、「センサーからクラウドまで現場のラストワンマイルを含め、多要素化や多拠点化するデータを統合的に管理することができる。『ノード・コンピューティング』を実現する第一歩となる」と位置づけた。
同社は、新たなコンピューティング形態として「ノード・コンピューティング」を標榜する。クラウド型とエッジ型の異なるコンピューティング環境が自律的に動きながら、それぞれの利点を融合し、非中央集権型アーキテクチャーの考え方を基本に、企業に必要とされる管理を集中的に行うことができる環境を実現するという。
さらに、新たな概念として「NDM(ノードデータマネジメント)プラットフォーム」も提唱する。グローバルGravio事業部長の垂見智真氏は、「あらゆるノードのデータを管理する概念であり、これによりアステリアは、ノードビジネスをドライブしていくことになる」と前置きして、次のように説明した。
アステリア グローバルGravio事業部長の垂見智真氏
「既存データに加えて、センサーデータやカメラデータ、推論データが増加するなど、ここ数年でデータを取り巻く環境が大きく変化し、データの多要素化が止まらない。同時にデータが生成、活用される場所が増え、多拠点化も進展している。当社が持つノーコードの知見、データの連携や収集の知見を生かすことで、デジタル人材不足が指摘される中でも、誰もがデータを活用できる環境を実現し、システムを迅速に構築し、現場におけるアジリティーを実現できる。現場の課題解決の鍵は現場データの活用であり、そこに新Gravioが貢献できる」(垂見氏)
「Gravio」は、2017年にAI搭載のIoTミドルウェアとして出荷を開始したもの。オフィスや学校、店舗、競技場などに設置されたセンサーからの情報を収集したり、サービスに接続したりといったことをノーコードで実現できる点が特徴で、製造や流通などを中心に、さまざまな業種に採用されてきたという。具体例には、トラックなどの位置の確認、競技場のトイレの利用状況の把握、商業施設での顧客分析や人流の把握、工場での生産ラインの管理や製品の安定性確保などで、こうしたデータの収集や管理に利用されている。
今回の新Gravioは、センサー情報に限定せずに、データベース(SQL)ファイルやMQTTプロトコルをサポートし、さまざまなデータを収集、管理できるほか、Gravio Cloudを通じて、全てのノードからのデータを統合、活用できる環境を提供する。
Amazon Web Services(AWS)やGoogle Cloudなどのクラウドサービス、Slackや「Microsoft Teams」、LINEなどのソフトウェアサービス、「Excel」などのデータファイルとの連携も図っていく。Gravioの特徴であるノーコードも進化しており、データ分析をはじめ簡単な操作でやりたいことを実現する。「現場利用に最適なサービスであり、属人性の排除やデプロイおよびバックアップも簡単に設定できる」(垂見氏)とした。
また、マルチプラットフォームに対応する。データの種類や特徴に応じて、「Raspberry Pi」やノートPC、クラウドサービスを選択するといったように、最適なノードを設定することができる。「データの多要素化、多拠点化への対応と、強化されたデータ統合とシステム管理を実現できる。Gravioを提供してからの5年間は、エッジのデータをいかに活用するかという観点から進化を遂げてきたが、新Gravioはあらゆる場所のさまざまな情報をノーコードによってサービスにつなぐ形へと進化した。第2章と言えるものになる」(垂見氏)とする。
Gravio Cloudの管理画面