日本と顧客のためのクラウドとAIに注力--日本オラクルが新事業戦略を発表

國谷武史 (編集部)

2023-07-06 17:50

 日本オラクルは7月6日、2024会計年度(2024年5月期)の事業戦略発表会を開催した。記者会見した取締役 執行役社長の三澤智光氏は、「日本のためのクラウドの提供と顧客のためのAIの推進に取り組む」と事業戦略を表明した。

日本オラクル 取締役 執行役社長の三澤智光氏
日本オラクル 取締役 執行役社長の三澤智光氏

 説明会で三澤氏は、まず2023会計年度の概況を説明した。グローバルの通期売上高が前期比22%増の約500億ドル(約7兆1906億円)、第4四半期(2023年3~5月)の売上高が同18%増の138億ドルとなり、特に55%増のクラウド関連が増収のけん引役になったとする。クラウドの内訳ではIaaS/PaaSが77%増、SaaSが47%だった。

 三澤氏は、近年にグローバルでの売上高が大きく伸び続け、クラウド市場でシェアが拡大していると強調。6月19日時点の米ニューヨーク証券取引市場「NASDAQ」での株価に基づく企業時価総額上位100社を引用して、同社が25位の3380億ドル、直近1年の株価上昇率が85.37%だとした。時価総額のトップはAppleの2兆9080億ドルだが、株価上昇率はOracleがトップだとする。「純粋な法人向けビジネス専門のIT企業ではOracleが実質的にナンバーワンの評価をいただいているだろう。勢いを取り戻しつつある」と主張。日本でもクラウドのビジネスが好調としつつ、データベースなどのソフトウェアビジネスも順調だと説明した。

 2024会計年度の事業戦略で三澤氏は、「日本のためのクラウドの提供」と「顧客のためのAIの推進」の2つの大方針を掲げた。前会計年度では「ミッションクリティカルシステムの近代化」など5つを掲げていたが、三澤氏は「社内から5つは多過ぎると言われたので、今期は2つにした」と冗談を交えて切り出し、「根底として社長就任時から、日本ではレガシーシステムの最新化が不可欠であること、5~10年後の技術の進化を見据えることの2つが不可欠だと言い続けている。(2024会計年度の事業戦略は)その考えを反映した」と述べる。

 1つ目の大方針の「日本のためのクラウドの提供」では、具体的な戦略として(1)日本の顧客のための専用クラウドの提供、(2)ガバメントクラウドへのコミットメント、(3)ハイブリッドクラウドによるミッションクリティカルシステムの最新化、(4)クラウドネイティブSaaSに顧客のDXの推進、(5)ERPにまつわる従来のコスト構造から顧客を開放――の5つに取り組むとする。

 (1)は、OracleのIaaSへの参入が競合より後発だったことから逆に有利だとする。競合の多くは大規模データセンターでサービス提供基盤を自前で運用するスタイルだが、Oracleは、自社運営する「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)に加え、OCIの仕組みをパートナーやユーザーが自前のデータセンターに導入して自らも運用できる「Dedicated Region」や「Alloy」、また導入実績が多い「Oracle Cloud@Customer」など、柔軟な提供形態を取りそろえているとし、日本の顧客が要件に応じてこれらを選択、導入していける利点を訴求する。

クラウドの柔軟な提供形態が日本市場の多様な要件に適しているとする
クラウドの柔軟な提供形態が日本市場の多様な要件に適しているとする

 (2)は、2023会計年度からの継続的な取り組みとして中央官庁への対応体制を強化するとともに、地方自治体への対応を強化する。地方自治体に強い地域のソフトウェア開発企業(ISV)やシステムサービス企業、地方公共団体と連携したソリューション開発や、OCIをはじめとするテクノロジー活用に向けたトレーニングの提供などに努め、中央・地域のデジタル行政の推進を支援していく。また三澤氏は、日本では将来的なものとしつつ、特定地域の規制要件に対応する「ソブリンクラウド」の取り組みを欧州連合(EU)地域向けに開始したことも示した。

 (3)について三澤氏は、パブリッククラウド環境とミッションクリティカルシステムの“相性”が必ずしも良いばかりではないと指摘した。ミッションクリティカルシステムでは、「高い処理性能」「低遅延」「高可用性のクラスター構成」「ステートフル(なデータベース接続)」が必須で、パブリッククラウド環境はこれらを満たし切れないとする。ここでは(1)で示す後発の利点を生かしたミッションクリティカルシステムの要件を重視しているOCIに強みがあり、高度なセキュリティ機能も標準で提供し、サービスに組み込まれている点が差別化になるとアピールする。また、多くの企業がオンプレミス/クラウドのハイブリッド構成を採用している実態を鑑みて、特に異なるインフラ環境間でのデータ転送コストが大きな負担になっていることから、顧客に対して同業他社よりも競争力のある価格メリットの訴求にも力を入れる。

 (4)では、Oracleが長年にわたり自社開発や買収などで拡充してきた業務アプリケーションをクラウド向けにソースコードレベルから開発し直し、SaaSの「Oracle Fusion Applications」として提供している点が特徴だとした。これは、業務アプリケーションのソフトウェアをさまざまなインフラ基盤で運用するよりも、追加コストなしに四半期ごとなどの頻繁な自動アップデートを可能にし、顧客が技術負債を抱えることなく、業務において最新技術の効果を享受していけるなどとした。

ERPのコスト構造にも切り込むと三澤氏
ERPのコスト構造にも切り込むと三澤氏

 (5)についても従来のオンプレミスベースのERPでは、保守や更新に多大なコストや手間がかかり、技術負債を抱えてしまうことから、Oracle Fusion Applicationsへの移行と活用でそれらを解消し、IT費用を戦略的投資に配分できるようになると顧客に提案していくとしている。

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