日本オラクルは7月7日、メディア向け説明会を開催し、Oracleが米国時間6月28日に発表した人材管理業務のクラウドサービス「Oracle Fusion Cloud Human Capital Management(HCM)」における生成AI機能の搭載について解説した。
Oracleは生成AI機能を「既存のAI機能を強化するもの」と位置付け、Cloud HCMを利用する顧客は迅速なビジネス価値の推進、生産性の向上、候補者や従業員におけるエクスペリエンスの強化、人事プロセスの合理化が可能になるとしている。
同社は生成AI機能の開発を顧客と共に行っており、顧客からは「生成されたコンテンツに対してユーザー側の主導権を担保し、承認あるいは修正・再生成を自由に行えるようにしてほしい」といった要望が数多く寄せられたという。
Oracle バイスプレジデントのGuy Waterman氏
説明会に登壇したHCM Technology and Innovationを担当するOracle バイスプレジデントのGuy Waterman(ガイ・ウォーターマン)氏は「われわれは、お客さまの声に耳を傾け、彼らが使ってみたい機能を開発することに重きを置いている。こうしたアプローチのもと、生成AI機能のユースケースを増やしていきたい」と語った。
同社は、2023年末までに9つのユースケースの提供を予定している(図1)。ユースケースは(1)コンテンツ作成の支援、(2)アイデアの提案、(3)コンテンツの要約――に大別される。日本語での提供時期について、Waterman氏は「ロードマップには入っており、機能の優先順位を付けた上で提供していきたい」とコメントした。
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(1)では、プロンプトテキストを基にコンテンツを作成し、生産性の向上を支援する。活用例には、職務記述書や業績目標の作成のほか、社内の問い合わせ情報を基に人事部門のナレッジをまとめることなどが考えられるという。
(2)では、自然言語処理とベストプラクティスのもと、ユーザーが迅速かつ正確に業務を完了させることを手助けする。具体的には、従業員向け調査の項目やキャリア開発のヒントなどを提案する。提案内容には、顧客の言語スタイルや文化的DNAを反映できるとしている。
(3)では、コンテンツを要約し、生産性の向上を後押しする。要約する対象には、従業員から収集したフィードバックや、評価時に提出するパフォーマンス内容などがあるという。
人事領域におけるAIの活用では、属性などに対するバイアスを取り除くことが求められる。Waterman氏は「われわれはあらゆるバイアスを監視している。PII(個人を特定できる情報)はバイアスをもたらす傾向があるため、PIIを排除することで公正な結果を得ることを図っている」と説明した。同社はPIIのほか、センシティブな情報や人口動態に関する情報も排除することで、バイアスの対策に取り組んでいるという。