弁護士ドットコムは8月1日、法務省が公表した「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」を踏まえ、6領域21ビジネスの事業開発を開始することを明らかにした。
非弁護士の法律事務の取り扱いなどを禁止する弁護士法第72条にAIなどを用いた契約書の審査サービスが抵触するかが2022年、リーガルテック業界において大きな議論となった。これらの動きを背景に、内閣府規制改革推進会議と法務省が中心となって論点整理が進められ、「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」と題されたガイドライン(PDF)が公表された。
今回のガイドライン公表により、弁護士ドットコムは、安心して多くのリーガルテックビジネスが展開可能となったとし、「契約業務」「コンプライアンスチェック業務」「ドキュメント作成業務」「リサーチ・デューデリジェンス支援業務」「法律相談業務」「弁護士(法律事務所、企業内含む)向け業務」といった6事業領域でAIを活用した21のサービスを開発する。
契約業務
- AI契約レビュー:AIを用いた契約レビューサービス
- AI契約作成:AIを用いた契約作成サービス
- AI契約分析:AIを用いた契約分析サービス
コンプライアンスチェック業務
- 景表法チェッカー:AIを用いて自社の広告表示を景表法観点でチェックするサービス
- 薬機法チェッカー:AIを用いて自社の広告表示を薬機法観点でチェックするサービス
- 特商法チェッカー:AIを用いて自社のウェブサイトを特商法観点でチェックするサービス
- 下請法チェッカー:AIを用いて中小企業などとの取引を下請法観点でチェックするサービス
- 与信チェッカー:AIを用いて取引先の信用力を取引方針に照らしてチェックするサービス
- 反社チェッカー:AIを用いて取引先を反社会的勢力をチェックするサービス
ドキュメント作成業務
- 利用規約作成:AIを用いた利用規約作成サービス
- 社内規程作成:AIを用いた社内規程作成サービス
- 特商法上の表記作成:AIを用いた特商法上の表記作成サービス
リサーチ・デューデリジェンス支援業務
- 横断型リサーチ:AIを用いて法令/判例/書籍などあらゆるリーガルデータを横断検索するサービス
- デューデリジェンス支援:AIを用いて合併・買収(M&A)におけるデューデリジェンス支援をするサービス
法律相談業務
- AI法律相談:AIを用いた法律相談サービス
- 外国人向け法律相談サービス:AIを用いた外国人労働者・観光客向け法律相談サービス
弁護士(法律事務所、企業内含む)向け業務
- 訴状作成支援ツール:AIを用いて訴状/答弁書/準備書面などの法律文章の作成支援をするサービス
- 訴訟遂行支援ツール:AIを用いて法律文章/証拠の評価、提出など訴訟遂行を支援するサービス
- 紛争解決プラットフォーム:AIを用いて紛争解決するプラットフォームサービス
- 損害賠償請求額試算ツール:AIを用いて損害賠償請求額の試算ができるサービス
- リーガルファイナンスサービス:AIを用いて弁護士関連費用などを資金面でサポートするサービス
契約業務、コンプライアンスチェック業務、ドキュメント作成業務、リサーチ・デューデリジェンス支援業務、法律相談業務は、同ガイドラインの主旨に鑑み、法律事件性を除く事案に限定するという。また、開発に当たっては弁護士法第72条などの法令との整理を慎重に精査すると同社は説明する。