弁護士ドットコムは7月26日、事業戦略説明会を開催し、弁護士向け実務サービス「Copilot for lawyers」のロードマップを公開した。さらに、その第1弾として生成AIを活用した弁護士向けリサーチ支援サービスを今秋から提供すると発表した。
元榮太一郎氏
冒頭、代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)を務める元榮太一郎氏は5月に発表したAI法律相談チャットサービス「弁護士ドットコム チャット法律相談(α版)」(チャット法律相談)について触れ、同社の「リーガルブレイン」戦略の一部だとした。
リーガルブレイン構想は、あらゆるリーガル(法務、法律)情報を学習させた、特化型の大規模言語モデル(LLM)を実現していく中長期ビジョン。契約マネジメントプラットフォーム「クラウドサイン」を含めた同社サービス全てで強力に推し進められ、それにより、それぞれのユーザーに対する付加価値の向上や社会の変革につながると同氏は考える。
リーガルブレインでは、同社18年の歴史の中で蓄積された弁護士、裁判官、契約、法務書籍に関するデータベースや法律相談Q&Aが活用される。想定される提供ユーザーとしては、弁護士、企業、個人。チャット法律相談は個人ユーザー向けサービスに該当し、今後は、弁護士と企業ユーザー向けてリーガルブレインを生かしたAIサービスを提供する予定だと元榮氏は述べる。
弁護士向けの実務サービスであるCopilot for lawyersは、弁護士業務のうち、書籍や判例などを調べるリサーチと訴状や内容証明を作るドキュメンテーション作成を支援する。AIをパーソナルアシスタントのように使うことで、手間や時間を必要とするこれら業務を任せることを可能にする。
例えば、リサーチ支援であれば、自然文による検索で該当する書籍や判例を表示し、ドキュメンテーション支援では、事案の説明と希望する請求内容などを入力することで訴状を作成するといったことが可能になる。弁護士にとって心理的負担の大きな法律相談に対応する場合も、“AIアソシエートとして同席”させてリアルタイムなサポートを受けることを可能にする。これにより、弁護士がより価値のあるクリエイティブな業務に集中できる環境を後押しするという。
リサーチ支援製品のイメージ
今期中に3つの製品を予定されていると元榮氏。第1弾が2023年9月、第2弾が2023年12月でリサーチ支援に関連し、第3弾は2024年3月でドキュメンテーション支援に関連する。
リーガルブレインを成長させるため、委任、方針検討、裁判/交渉といった弁護士業務のそれぞれで使われる同社製品から得られる情報を集約し、体系化して「リーガルデータベース(DB)」を構築し、リーガルブレインで活用するというサイクルを同社では考えている。さらに、2万3000人超の同社のユーザー弁護士に利用してもらってフィードバックを得ることで、精度の高いリサーチ結果の提供を可能にする予定だという。
このような事業戦略によって、司法を身近にし、社会をより良くするため、AIのリスクを考慮しつつ活用することで社会貢献しながらも企業として成長したいと元榮氏は述べた。