NECとNIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は8月28日、物流倉庫での搬送作業の効率性と安全性を向上させるフォークリフトの自律遠隔搬送ソリューションを共同開発したと発表した。既製のフォークリフトにアクチュエーター、カメラ、センサーなどを後付けすることで、シミュレーションによる状況に応じた搬送ルートの自動設計や安全性を確保したフォークリフトの自律遠隔搬送を可能とする。
同ソリューションは、属人的だった搬送ルートの設定を物流倉庫内の映像データをもとに試行しながら自動設計する。自律制御時には、フォークリフトに搭載したカメラやLiDAR(Light Detection and Ranging)などのセンサーで感知した周辺の状況をもとにリアルタイムにルートの見直しを行い、環境の変化にも柔軟に対応する。
自律遠隔制御対応のフォークリフト(出典:NEC)
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また、NECが開発した「リスクセンシティブ確率制御技術」を活用することで、搬送ルート上の障害物や人などへの衝突の危険性を把握し、状況に応じてフォークリフトの速度を制限速度内で自動調整する。
全てのフォークリフトのカメラ映像やセンサー情報をクラウドに集約し分析、制御することで、複数拠点にある複数台のフォークリフトを倉庫外からも管理・操作可能となる。物量や需要に応じて作業内容を変更できるよう、自律制御、遠隔操縦、搭乗操作を容易に切り替えられる。
遠隔操縦イメージ(出典:NEC)
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物流業界は現在、少子高齢化による人口減少に加え、2024年のトラック運転手に対する時間外労働規制の強化により、運転手や倉庫人員などの労働力不足が将来的に見込まれることから、障がい者雇用の拡大や物流の効率化が喫緊の課題となっている。