ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)は、並列にデータを処理することで、コンピューティングのパフォーマンスを限界にまで押し上げている。つまり、そのコンピュートリソースが、Hewlett Packard Enterprise(HPE)と傘下のCrayによるエクサスケールコンピューター「Frontier」であるか、数百、あるいは数千台規模のサーバー群なのかにかかわらず、複雑なタスクを受け取り、マシンの性能が許す限り高速に実行するということだ。
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オープンソースのイノベーションをリードする組織であるThe Linux Foundationは米国時間11月13日、HPCの発展を目的とした団体High Performance Software Foundation(HPSF)の設立計画を発表した。The Linux Foundationは9日にも、ストレージソリューションの管理と開発を目的とした団体Distributed Asynchronous Object Storage(DAOS)Foundationの設立を発表している。
HPSFは、HPC向けのポータブルなコアソフトウェアスタックの構築と普及、向上を目的としている。このスタックは以下の10種類のオープンソースプログラムで構成されている。
- Spack:HPCパッケージマネージャー
- Kokkos:ハードウェアを意識せずにモダンなC++アプリケーションを開発できるようにするための、パフォーマンスポータブルな(プラットフォームを変更しても高いパフォーマンスを維持できる)プログラミングモデル
- AMReX:ブロック型の適合格子細分化法を用いた偏微分方程式を高速に解くためのパフォーマンスポータブルなソフトウェアフレームワーク
- WarpX:2022年のGordon Bell賞を受賞した先進的アルゴリズムによる、パフォーマンスポータブルなセル内粒子(PIC)コード
- Trilinos:粒子の線形/非線形/過渡的なソルバーとともに、最適化とUQ(不確かさの定量化)などを取り扱う再利用可能な科学技術ソフトウェアライブラリーのコレクション
- Apptainer:セキュアなHPCを特に考慮したコンテナーシステムとイメージフォーマット
- VTK-m:アクセラレーターアーキテクチャー向けに科学技術データの可視化を実現するアルゴリズムのツールキット
- HPCToolkit:ノートPCから、GPUを搭載した世界最大規模のスーパーコンピューターに至るまでのコンピューターに対するパフォーマンス計測および分析ツール
- E4S:超大規模科学技術ソフトウェアスタック
- Charliecloud:HPC向けに実装された軽量の非特権コンテナー
DAOS Foundationは分散型非同期オブジェクトストレージ(DAOS)プロジェクトの運営と開発に注力していく。DAOSはHPCや人工知能(AI)向けのワークロードを取り扱う、革新的な性能を有したオープンソースの高性能ストレージシステムだ。これにより、完全分散型のキーバリューストレージ(KVS)アーキテクチャーがもたらされ、従来のPOSIXベースのHPCストレージシステムの制限を克服できるようになる。
DAOSは高帯域幅かつ低レイテンシー、高い秒あたり入出力(IOPS)をサポートしている。最も重要なのはここでも、1にも2にもスピードだ。これは、Intelが2012年に取り組みを開始したという点で成熟したプロジェクトだ。同社はDAOSのソースコードをDAOS Foundationに寄贈し、今後も主要なコントリビューターとして貢献していく。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。