住友精化は、事業構造の強靱(きょうじん)化に向けた経営情報の見える化や既存ビジネスの最適化、新製品開発の促進を実現するため、基幹業務システムを「SAP S/4HANA Cloud」を中核としたクラウドオファリングである「RISE with SAP」へ移行した。日本IBMとSAPジャパンが支援したという。
移行プロジェクトでは、2025年に保守の期限を迎えるSAP ERPを「SAP S/4HANA Cloud, private edition」に移行しながら、周辺システムの最適配置を目的に倉庫管理(EWM)、輸送管理(TM)の新規モジュールの導入を行っている。これにより財務・経理から生産、物流、販売まで幅広い業務プロセスを有する基幹システムの安定稼働を実現したという。
また、経営管理基盤には経営管理プラットフォーム「Tagetik」を活用し、経営に関する各種レポートの情報収集や加工の自動化や可視化により、全体最適視点での業務プロセス効率化と標準化を行った。
この移行プロジェクトでは、SAP S/4HANA Cloud、周辺システム、経営管理のプロジェクトを同時並行で推進。「IBM Rapid Move」の専用ツールを活用して、現行ERPからコンフィグレーションとアドオンをSAP S/4HANA化(シェルコンバージョン)を行い、並行して、既存プロセスやデータの変更と削除、SAP S/4HANA新機能を追加し、新たなSAP S/4HANA環境へデータを移行した。
日本IBMは、このプロジェクトにおいて、未確定事項の詳細検討による要件定義フェーズへのスムーズな移行を実施した。またSAP S/4HANAに取り込めない機能の代替ツールの選定や、経営管理チームの立ち上げ、プロジェクト開始時から継続したチェンジマネジメント活動に取り組んだという。
SAPジャパンは、SAP S/4HANA Cloudへの移行およびEWM、TMの新規モジュールの導入に関して「premium engagements」サービスで支援した。
今後、住友精化と日本IBMは、住友精化のチェンジマネジメントを継続しながら、周辺基幹システムの刷新によりデータ連携を強化し、経営基盤全体の構築を進めていく。