NECは、広島市に高齢者の健康状態に関する情報の収集、課題の把握、可視化する仕組みを提供すると発表した。この仕組みにはデジタル技術を利用しており、同市がこれまで取り組んできた介護予防・フレイル(虚弱)対策を強化・支援する。こうした取り組みは中四国初だという。
具体的には、「NEC歩行姿勢測定システム」とNECが開発したタブレット利用の高齢者向け健康情報入力システムを導入した。
タブレットによる情報入力システムは、高齢者の健康情報をデータ化する職員の作業を低減する。収集されたデータは、「健康チェックシートの結果」として可視化した帳票を印刷して当日にその場で高齢者に提供する。情報を取得・蓄積することで、過去3回分の結果の比較が可能な「ふりかえりシート」の提供も行う。
このシステムは、広島市および市内の41地域包括支援センター、リハビリテーション専門職などで連携し、介護予防教室や測定会・地域介護予防拠点(通いの場)などで使用する。その中で、高齢者の一人一人の状態に応じた効果的な指導を行う。また、介護予防・フレイル対策事業を通して蓄積されるデータは、多職種・地域間で共有し、事業成果の客観的な把握や地域・集団に応じた効果的な施策検討に活用する。
広島市では以前から、高齢者自身が健康づくりや介護予防に取り組めるよう、住民が主体となって身近な場所で介護予防に取り組む地域介護予防拠点(通いの場)の立ち上げ・支援に注力してきた。年々参加者数も増加し、週1回以上の参加率が政令市の中で1位となっているという。しかし、高齢者のさらなる増加と生産年齢人口減少の問題から、より効果的な取り組みが必要となっていた。
参加当日や後日提供される帳票のイメージ