ガートナージャパンは、オンプレミスの将来に関する最新の展望を発表した。これによると、「2027年までに、オンプレミスを継続しているユーザー企業の70%が『Oldオンプレミス』のベンダーが市場からいなくなっていることにようやく気が付き途方に暮れる」としている。
同社では、従来型のシンプルなスタックから構成されるオンプレミスシステムを「Oldオンプレミス」、クラウドネイティブの要素を取り入れた新しいオンプレミスを「Newオンプレミス」と呼んでいる。「Newオンプレミス」には、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ-(HCI)ベンダーはもとより、ハイパースケーラーが提示している「ハイブリッドソリューション」におけるオンプレミスも含まれる。
同社は、「Oldオンプレミス」を扱うエンジニアが減少し、支える人がいなくなるため、企業ユーザーにとって、いま付き合いのあるベンダーやシステムインテグレーターが、現在のテクノロジーをこれまでと同様にサポートし続けてくれると考えるのは大きな誤りだと指摘する。
企業が従来の延長としてのオンプレミスを利用しようとしても、それを支えるテクノロジーがなくなるため、ユーザーは、代替のテクノロジーを検討せざるを得なくなるという。また、代替のテクノロジーとして最も有力なのはハイパースケーラーであるものの、これを利用するには新たなスキルだけでなく時代に即したマインドセット、スタイルといった新しいケイパビリティーが必須になるとしている。
さらにガートナーは、「2027年までに大企業の70%において、現状維持とコスト削減を主目的とするオンプレミスインフラが廃止される」とも指摘した。
同社の調査では、レガシーインフラや旧来のスタイルのオンプレミス環境で長らく使われきたテクノロジーに対して、日本企業の最高情報責任者(CIO)の40%以上が、投資を減らす意向を示していることが明らかになった。
ガートナーは、ユーザーにとって、新時代の潮流に乗り遅れたまま何も対策を講じないという猶予はもはや許されない状況になりつつあるとし、自社のビジネス上の競争優位性に資する革新的なテクノロジーを時流に沿った形で取り込めるプラットフォームへ転換することが求められているとする。
さらに、ユーザーのインフラストラクチャーとオペレーション(I&O)に携わる部門は、従来型インフラの維持戦略において、ビジネス成果に対する有効性の検証と説明責任をより一層求められるようになるとした。加えて、ビジネス部門におけるクラウドサービスの利用意向もさらに高まり、I&O部門がコントロールできない、ビジネス部門の利用者主体で導入されたプラットフォームインフラが急増する可能性も考えられると述べる。
このような状況に対してI&Oリーダーは、オンプレミスの従来型インフラについて一度ゼロベースで考えるべきと、ガートナーはアドバイスする。ユーザー組織の担当者は、自社のビジネス目標やインフラ利用者のニーズに基づいて、どのような価値を提供すべきか、あるいは、どのような価値が求められているかを明確にすべきだとした。
さらに、老朽化したインフラの“終活プロジェクト”を立ち上げ、システムインテグレーターやベンダーからの提案をうのみにせず、自社のサービス基盤として求められるテクノロジーや手法が何かを自律的に判断できるようにする必要もあると指摘する。