Arcserveは1月29日、事業戦略説明会を開催し、最高経営責任者(CEO)のChris Babel氏がビジネスの状況や今後の戦略などを発表した。ランサムウェアなどの脅威が高まり続けている状況を踏まえ、企業データの保護と柔軟性や使いやすさを向上させるバックアップ/リカバリーの提供に注力していくと語った。

Arcserve 最高経営責任者のChris Babel氏
2024年5月に就任したBabel氏は、顧客やパートナーらとの対話を重ねる中で、セキュリティ脅威への対策と、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が大きなテーマだと指摘。「ランサムウェアの脅威が続き、さらに加速して、あらゆる企業が標的となっている。他方で、データやAIの活用によりビジネスの競争優位性の獲得にも努力している。脅威に対応してセキュリティ強化に取り組み、サードパーティーなどの支援も活用しながらIT環境の運用管理性の向上などにも努めているが難しくなり、コストも増大している」などと述べた。
こうした中で同社は、バックアップ/リカバリーとセキュリティのソリューション拡充を推進し、オンプレミスやクラウドなど多様な環境への対応、データ重複排除技術などを駆使した運用コストの節減、事業継続性も含めた顧客におけるガバナンスやコンプライアンス、ポリシーの支援にも当たってきたとする。
製品戦略では、2024年においてポートフォリオの合理化や既存製品の強化などを実施。ただ、イミュータブル(不変)バックアップストレージの「Arcserve OneXafe」で半導体部品の調達が難航することになり、やむを得ず同製品の提供を終了する事態もあったという。
このため2025年を加速の1年と位置付ける。2024年11月にリリースした統合型バックアップ/リカバリー製品の最新版「Arcserve Unified Data Protection(UDP) 10」の拡大を皮切りに、第1四半期以降にArcserve OneXafeの後継となるイミュータブルバックアップの新製品の開発・提供を推進。管理コンソールの改良による操作性の向上、アプライアンス/クラウド/テープなどの各種バックアップ手段を適材適所で容易に活用できる柔軟性の強化などにも/取り組むとした。

事業戦略の方向性
AIの活用に向けた開発も推進。バックアップ対象データの異常検知や対応手段の提供、バックアップ/リカバリーの運用効率化の支援などにAIを適用していく考えで、現在はこれらの概念実証(PoC)を行っているという。
また、パートナーチャネルを中心としている製品の販売、提供の改善にも取り組み、パートナーや顧客のコスト節減に寄与する施策の検討も進める。同社が強みとする中堅・中小企業市場に加え、大企業顧客の獲得に向けたセールス体制なども検討していくとした。

製品ロードマップ
(訂正:初出時にBabel氏のCEO就任時期を「2023年」と記載しましたが、正しくは「2024年5月」でした。お詫びいたします。)