ソフトウェア開発などを手掛けるフィックスターズ、コンテナー型データセンター事業などを担うゲットワークス、ネットワーク・データセンター事業を行うNTTPCコミュニケーションズ(NTTPC)の3社は、水冷GPUサーバーの稼働環境を整備すると発表した。各社の知見を持ち寄り、稼働環境を構築することで国内での普及を後押しする。
生成AI需要の急増に伴い、GPUの技術革新スピードは加速しているが、GPUの性能向上に伴い、消費電力と発熱量は膨大なものになっている。これらのGPUをこれまで一般的であった空冷で冷却することは困難で、液体で熱を吸収する水冷方式が必須になりつつある。しかし、日本国内では水冷GPUサーバーの稼働実績が乏しく、導入・設置需要に対応できずにいるという。
その原因については、(1)サーバーベンダーごとに冷却仕様や対応しているCDU機器が異なる、(2)同一ベンダーにおいてもGPUごとに冷却水循環装置(CDU)機器の選定が必要、(3)データセンターへ水を引き込むことへの忌避感や、既存設備の改修コストの増加、(4)建屋内へ引き込める水量の限界、(5)水冷環境を構築するノウハウが乏しい――などが挙げられるとのこと。
こうした状況を受けて3社は、水冷環境の導入を推進するため、各社の得意分野を集結し、2025年夏までに複数サーバベンダーの水冷GPUサーバーの本稼働環境の整備を目指すとしている。
具体的には、フィックスターズが自社で保有する水冷GPUサーバーを実証実験用に提供し、GPUを活用したソフトウェア高速化やパフォーマンスチューニングの実績を生かしたシステム全体の性能評価および信頼性検証を担当。ゲットワークスは、各ベンダーから持ち込まれる最新情報や、水冷対応データセンターの新設案件に内包する技術的課題に対応している実績や知見、併せて施工技術などを提供する。NTTPCは、複数の大規模GPUクラスターの提供実績を基に、ハードウェアエンジニアリングの観点から今回の検証に取り組む。
機器のラックマウント、OSのインストールなどの初期構築をはじめ、サーバーの負荷テストによる水の温度上昇と冷却の観察、空冷と比べた消費電力と冷却効率の相関に関するデータ収集など、水冷サーバーならではの知見・ノウハウを蓄積していく。
検証と本稼働は、ゲットワークスとGXテクノロジーが共同で運用する「湯沢GXデータセンター」(新潟県湯沢町)内で実施するとのこと。今回の取り組みを通じて得られたデータや知見について、フィックスターズは、今後設立が予定されているコンソーシアムで共有していく予定だ。