「ERP導入費用のうち、ライセンス費用を10分の1に、ハードウェア費用を5分の1にして、残りをすべてシステム導入費用に投資できるERPを実現すること。それがマイクロソフトの製品コンセプトだ」……こうは話すのはマイクロソフトのシニアアカウントエグセクティブである鹿山剛彦氏だ。
ExcelシートがERPの最新データを呼び出せる
一般に、ERP導入においては、帳票や画面の開発、分析系を含むインターフェースの開発など、アドオン開発のコスト比率は、導入総費用の約30%を占めるとされる。鹿山氏は「Microsoft Dynamics AX (以下、Dynamics AX) は、そうした追加開発費用を抑え、ユーザーは付加価値部分の構築に投資を集中できるようになる。そのため投資対効果は大きく向上する」と話す。
Dynamics AXは、ライセンス費用が安価であることに加え、あらかじめインプリしやすい開発ツールや、画面のレイアウトや構成をカスタマイズするためのツール、さらに導入してすぐに使えるレポート類を用意することで、追加開発を抑えるという。
たとえば、Dynamics AXの標準の入力画面はフィールド形式で表示されるが、ボタンが多過ぎて使いにくいとユーザーが感じた場合は、必要ないフィールドやボタンをどんどん非表示に変更してしまうことができる。
プロダクトマネージャである青山瑞佳氏は「画面のコントロールはユーザーレベルで自由にカスタマイズできる」と説明する。
「顧客伝票に入力する際、たとえば特定の顧客を担当するユーザーは、自分の顧客だけを表示するようフィルタリングすることもできる。このフィルタに名前をつけて保存し、『お気に入り』に登録しておけば、つねにフィルタリングされた状態になる」(青山氏)
こうしたユーザー要件の実現には、従来であればクエリを作るなどの追加開発が必要だった。それをDynamics AXは「Excelライク」に実現できる。例えば、レポートについては、左右対称のレイアウトを持つ貸借対照表のような日本独特の要件も、あらかじめ用意されている。
マイクロソフトは日本のユーザー向けにデモデータセットを開発。勘定コード体系もJIS規格に合わせたデモデータを用意しており、これを入れてしまえば、すぐに使えるようになっている。その上で、足りない部分だけを開発すればいい。
また、当然のことながらMicrosoft Office製品との連携に優れる点も特徴だ。例えば、顧客別に販売実績を見る場合は、Dynamics AXの画面でレポートしてもいいし、実績データをExcelのピボットテーブルに落とすこともできる。
データをダウンロードした後は、Excelのビジュアライズ機能を使い、表現力の高いレポートに仕上げることもできる。目標に対する達成率をグリーンやレッドの信号で表示できるし、Excelシートを保存しておけば、次回開いたときにDynamics AXの最新の実績データを自動的に表示してくれる。
この連携に魅力を感じるユーザーも多いはずだ。Dynamics AXに入力する必要のないユーザーは、このシートだけを見れば良い。実績を見るだけのユーザーに、Dynamics AX専用クライアントの使い方をトレーニングする必要もなくなる。
納品書や請求書などの帳票についても、Dynamics AXの注文データをそのままWordの文書に落とすことができる。Dynamics AXのデータは、Wordのテンプレートに対して自動でマッピングされる。顧客によって追加でコメントを入れる必要があるような場合には、Wordの中での修正加工で対応できる。
ユーザーにERPを意識させないOffice製品との連携はDyanamics AXの大きな武器のひとつだ。これは、帳票開発費用の削減にもつながる。