ピープルソフト、オラクルと統合後の進ちょく状況を語る

藤本京子(編集部)

2005-04-19 18:45

 日本ピープルソフトは4月19日、ERPパッケージ製品の新バージョン出荷開始に合わせて会見し、現在親会社となっている米オラクルとの関係や、今後の方向性について説明した。

 ピープルソフトは、2005年1月に米オラクルによる買収が完了したばかり。米国と英国においては既に両社の統合が完了し、アジアパシフィックの26カ所のオフィスでも一部は統合が完了している。日本ピープルソフトは米オラクルの完全子会社となっているが、米オラクル アジアパシフィック統括担当エグゼクティブバイスプレジデントのデレク・H.・ウイリアムズ氏は、「日本オラクルと日本ピープルソフトは現在も別会社として機能している。公正取引委員会による審議が済み次第、両社の今後の関係がはっきりする」と、2社の現状について説明した。

米オラクル アジアパシフィック統括担当エグゼクティブバイスプレジデントのデレク・H.・ウイリアムズ氏

 ウイリアムズ氏は、現在PeopleSoftおよびJD Edwardsのブランド名で提供されている「PeopleSoft Enterprise」(大企業向け)、「JD Edwards EnterpriseOne」(中小企業向け)、「JD Edwards World」(IBM iシリーズ上で稼動)のファミリー製品について、「最低でも2013年まではサポートする」としている。また、個別バージョンのサポート期間についても、JD Edwards EnterpriseOneバージョンXE/8.0は2年延長して2007年2月までとするほか、PeopleSoft Enterprise HCM 8SP1、HCM 8.3、HCM 8.3SP1の修正サポート期限を2006年3月31日まで、アップグレードサポート期間を2006年12月15日まで、PeopleSoft Enterprise FMS 8SP1、SCM 8SP1のアップグレードサポート期間を2006年12月15日までとし、それぞれ1年延長するとした。

 今後オラクルでは、各ブランド製品の提供およびサポートを続ける一方で、買収前よりオラクルが独自で提供していたERP製品「Oracle E-Business Suite」と、PeopleSoft Enterprise、JD Edwards EnterpriseOneを統合する方針で、その製品コンセプト名を「Project Fusion」としている。Project Fusionでは、「各製品の後継品を提供し続けつつ、顧客のペースに合わせて移行をサポートし、全製品から最高の機能を取り込んだものを提供する」と、日本ピープルソフト 執行役員 プロダクト・テクノロジー統括本部長の荻矢隆雄氏は述べている。

 製品ロードマップとしては、2005年は4月19日に出荷開始した新バージョンのJD Edwards EnterpriseOne 8.11の提供にはじまり、現在機能によってバージョンが混在しているPeopleSoft Enterpriseをすべて8.9に統一する。2006年は、PeopleSoft Enterpriseの新バージョン9.0とJD Edwards EnterpriseOneの新バージョン8.12、またOracle E-Business Suite 12をリリースし、Fusionテクノロジーの最初の製品を発表する。この間、JD Edwards Worldについては、現行リリースの機能拡張を続ける。個々のFusionアプリケーションが登場するのは2007年となり、2008年にはFusionのアプリケーションスイートが登場する見込みだ。

 Oracle E-Business SuiteとPeopleSoft Enterpriseは競合するのではないかとの見方もあるが、この点についてウイリアムズ氏は、「買収が完了して数カ月が経過したが、これまで競合することはあまりなかった。同一企業内で似たような製品ラインナップが存在することはよくあることで、顧客のニーズによってそれぞれの製品を提案する」と述べた。

 「われわれがフォーカスしているのは、顧客を保護すること。そして競合に勝つことだ。今回の企業統合で、ビジネスアプリケーションのクリティカルマスを手に入れることができ、実績の向上と他社に対する優位性が実現する。この統合は、ビジネスアプリケーション業界の新たな章のはじまりだ」(ウイリアムズ氏)

 なお、今回の統合により、オラクルの社員数は全世界で5万人となり、開発者の数は8000名以上となる。ピープルソフトの開発およびサポートのスタッフは、90%が継承される。

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