「メインフレームからオープンシステムへのシステム移行案件やセキュリティ・システム開発案件など、業種に依存しない汎用的な技術の需要が高まっている」--。こう語るのは、2004年4月に基盤ソリューション事業本部を設立したSIベンダー、野村総合研究所である。同社は7月21日に第21回NRIメディアフォーラムを開催、IT市場の姿を語った。
「レガシー・マイグレーションは幅広い知識と技術力を要求する。決して簡単なことではない。サービス・ビジネスの需要は高い」(常務執行役員で基盤ソリューション事業本部本部長の末永守氏)。基盤ソリューション事業本部の構成人数は約150人。証券業界向けの事業部など業種ごとに用意した同社の既存の事業本部と比べると規模は小さいものの、独立した事業母体として営業部隊と企画立案部隊を持つプロフィット・センターである。
従来からSIベンダーは、業種別の業務ノウハウを武器に、業務コンサルティングや業務アプリケーション開発といった高付加価値サービスを提供してきた。ユーザー企業の情報システム部門と直接対話して要件定義や基本設計を実施する関係上、業種ごとに細分化された業務の専門知識が必要であるためだ。
野村総合研究所が抱える業種ごとの事業本部は全6種で、以下の通りである。証券システム事業本部、証券システムサービス事業本部、金融システム事業本部、保険・公共システム事業本部、流通システム事業本部、サービス・産業システム事業本部。
一方、基盤ソリューション事業本部が提供するSIサービスはITインフラの構築サービスであり、業種を問わない汎用的なノウハウを扱う。既存の事業部との関係は対等であり、既存事業部から仕事を回してもらったり共同で仕事をするだけでなく、基盤ソリューション事業本部が受注した案件から派生した業務アプリケーション開発案件を既存事業部へ回すこともある。
基盤ソリューション事業本部が用意したコンポートント製品群がGranArchである。レガシー・マイグレーションやリッチクライアント化などシステムの形態を変える部品を36種類、認証VLANなどセキュリティ基盤を整える部品を27種類、IT基盤組織力強化などマネージメント体制を整える部品を8種類用意した。必要な部品を組み合わせることで、IT基盤の再構築にかかる期間とコストを削減可能になるというシナリオだ。