インターネットイニシアティブ(IIJ)、同社子会社のアイアイジェイテクノロジー(IIJ-Tech)、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の3社は8月1日、RFID(無線認識)プラットフォームの実用化を目指して協業することを発表した。3社が協業で研究するRFIDプラットフォームは、国際標準規格「EPCglobal Network」に準拠したものになる。
現在日本の製造・流通業は、中国などアジアへの活動拠点移転を進めており、世界的な企業間国際物流基盤の整備が求められるようになっている。日本HPの飯塚雅樹・専務執行役員は、「RFIDで商品と情報が紐付けされ、世界のどこからでもリアルタイムに商品がどこにあるのかを管理できる“グローバル・リアルタイムSCM(サプライチェーン管理システム)”の設計・構築が求められている」との見通しを説明した。
飯塚氏は、2010年に世界で60億個以上のRFIDタグが利用され、そのうち47億個以上がインターネットで利用されるだろうという調査予測を挙げて、「RFIDを活用する環境の構築では高品質なネットワーク環境の設計・構築が求められる」と説明した。さらに「グローバル・リアルタイムSCMを実現するには、利用する技術が、国際的に標準化された規格に基づいていることも重要」とも説明して、今回3社で協業するRFIDプラットフォームがEPCglobal Networkに準拠する意味を説明した。
EPCglobal Networkは、RFIDタグとネットワーク技術を含むRFIDを利活用する際の国際標準規格であり、世界400社以上の企業が参加するRFID国際標準化団体「EPCglobal」が管理・運営している。
IIJとIIJ-Techは、EPCglobalに参加して、EPCglobal Networkに準拠したシステム構築技術・ノウハウを蓄積している。日本HPは、EPCglobalのメンバーである米HPの日本法人として自社製品の情報管理にRFIDを導入し、製造業としてRFIDのノウハウを蓄積している。
グローバル・リアルタイムSCMを実現するために、3社はIT基盤、ネットワーク、RFIDの各分野でそれぞれ得意とする技術を補完しあう形で、RFIDプラットフォームの共同研究・開発を行う。
IIJの鈴木幸一社長は、個人的意見と前置きした上で「RFIDは誰にとってメリットがあるのか明確になっていない。そのことが、RFIDの普及につながっていないのではないか」との意見を明らかにした。鈴木社長は、RFIDを普及させるために「今回の協業で、RFIDプラットフォームを構築して、RFID導入が企業にメリットがあることを証明して、RFID普及を促したい」と語った。
3社の協業は以下の3分野で行われる。
- EPCglobal Networkに準拠したRFIDプラットフォームの実用化に関する共同研究
- 「HP RFID Noisyラボ・ジャパン」でのRFIDプラットフォームの共同提供
- 企業間国際物流におけるRFIDプラットフォームの提案と構築
RFID Noisyラボ・ジャパンは、本物の工場や倉庫と同じベルトコンベアなどの設備を置いて、RFIDを現場で電磁波の影響をどのように受けるのかなどを検証するための実証実験施設である。