グロービア、製造業向けERPの最新版「glovia.com ver.7.3」発表で中堅市場向けビジネスを強化

山下竜大(編集部)

2005-10-12 20:51

 米Glovia Internationalが100%出資する日本法人、グロービア インターナショナルは10月12日、組み立て製造業向けERPの最新版「glovia.com ver.7.3」の販売を、2005年10月31日より開始することを発表した。価格は5ユーザー版が198万円より。2006年度末までに50サイトへの新規導入を見込んでいる。

 Glovia Internationalは、富士通とMDIS(McDonnell Douglas Information System)の共同出資により1997年に設立されたERPベンダー。2000年4月より富士通の100%出資会社となっている。日本法人は1999年6月に設立。現在、英国、オランダ、ドイツ、シンガポール、タイに拠点を持つ。

 同社が提供するglovia.comは、米Xeroxが社内向けに開発した生産管理システムおよび財務管理システムをベースに、プロダクトライフサイクル管理(PLM)の全工程をサポートするための機能を拡張した製造業向けERPソリューションだ。約70種類のモジュールで構成されており、自動車、電機/電子、産業機器の3つの業種に最適化された機能が搭載されている。特に、日本の製造業における独自の仕組みや管理方法を標準で搭載し、日本の顧客からの要望を最大限に取り入れた製品となっているのが特長だ。

米Glovia Internationalバイスプレジデントの田村元氏

 バージョン6までは、ERP製品であるglovia.comを中核に、BtoBソリューションである「glovia.e」、エンタープライズビジネスソリューションである「glovia.hub」の3製品で構成されていたが、バージョン7で3つの製品を「glovia.com ver.7.0」として統合。複数の工場を有し、グローバルに“もの作り”を展開する企業の全社生販や、複数の工場における同期生産計画など、生産プロセスをリアルタイム化するための機能を充実させている。

 最新バージョンでは、電機/電子業界向けのグローバルオペレーション機能のほか、自動車業界でリーン生産を実現するための機能、中堅企業向け仕様の充実など、さまざまな機能が強化されている。

 グローバルオペレーション機能では、多拠点、多国籍な企業の販売から生産、調達にわたる生産計画や実行オペレーションを実現する機能を搭載。また、ライン別、セル別の所要量を計算するための所要量計算機能や、週次、月次の製造バケット管理などの機能が搭載されている。

 また、自動車業界でリーン生産を実現するための機能では、在庫ポイント設定による製造、購買、転送、預託販売などに対応する電子カンバン(eKanban)の自動生成など、オンデマンドフローに基づいたリーン生産を実現できる。リーン生産は、より少ない労働力やスペース、在庫、移動距離を実現することで、生産のためのコスト削減やリードタイム短縮を実現しながら高品質を維持する手法。1950年代に登場したトヨタ生産方式が基本となっている。

 自動車業界向けの機能としてはまた、米Hondaが認定する2004年度のEDIとバーコードラベリング実施要項に適合していることから、glovia.comを導入することで自動的にHonda認定の納入システムを実現することができる。

 さらに中堅市場向けの仕様の充実では、SOX法に対応したコンプライアンス機能や監査機能の強化、発注から納入までのプロセスをリアルタイムに実行できる「Webサプライヤーポータル」機能の搭載など、大規模向けの機能を個別にアドオン開発することなく標準機能として提供。初期導入コストを削減することが可能になる。

 米Glovia Internationalのバイスプレジデントである田村元氏は、「中堅企業向けだから機能が少なくてもいいわけではない。規模にかかわらず、作っているものが同じなら必要な機能は同じ。逆に、中堅向けだからカスタマイズをすることなく導入してすぐに使える機能を提供することが必要になる」と話している。

 今後は、開発コード「Fusion」と呼ばれるglovia.comの次期バージョンが2006年中にリリースされる計画。次期バージョンでは、管理メッシュが日付単位から時間単位に拡張されるほか、部品がなくなった場合に代替え部品を提案してくれる「代替品処理」、主要なGUIのリニューアルなどの機能強化が予定されている。

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