日本オラクルとシックス・アパートは12月6日、シックス・アパートが提供するブログソフトウェア製品「Movable Type(ムーバブル・タイプ)」を利用したエンタープライズ向けブログソリューションの開発で協業することを発表した。
この発表により両社は、オラクルの「Oracle Database」および「Oracle Fusion Middleware」上で動作するMovable Typeを開発することを表明。同日より、シックス・アパートのウェブサイトでベータテストの受付を開始している。
サービスプロバイダーが提供する個人ユーザー向けサービスの1つとして登場したブログサービスは、企業のマーケティングツールや企業内の情報共有の仕組みとして活用範囲が拡大しつつある。総務省の調査では、ブログ市場は2004年の6億800万円から2006年には141億円に拡大すると報告されている。また、社内ブログを導入する企業も2004年の20社から2006年には600社に拡大するという。
- 日本オラクルのアドバンストソリューション本部 本部長、林徹氏
日本オラクルのアドバンストソリューション本部 本部長、林徹氏は、「ブログサービスを実現するにはデータベースが不可欠。ブログの仕組みとデータベースと組み合わせたソリューションを提供する企業向けブログ市場が必然的に立ち上がっている」と話す。
両社のソリューションを組み合わせることで、Oracle Databaseを中核とした社内ブログを立ち上げることができるのはもちろん、Fusion Middlewareを活用することで、企業システムとブログシステムを1つの企業ポータル画面上に統合して運用することが可能。容易に更新できるブログシステムの特長を生かし、高いセキュリティのもとに情報管理体制を確立できるほか、運用コストも削減できるなど、さまざまな効果を期待できるとしている。
- シックス・アパートの代表取締役、関信浩氏
シックス・アパートの代表取締役、関信浩氏は、「ブログは単なる日記ではない。常に進化を続けるネット上のコミュニケーション手段であり、今や40%の企業がビジネスにブログを活用することを検討している」と話している。
例えば、日産自動車では、新車の発売キャンペーンサイトにブログの仕組みを活用。ブログを使っているという話題性に加え、コンテンツ管理システムとしての使いやすさによりプロモーションの促進を実現した。また、カシオ計算機では、社内情報ポータルとしてブログの仕組みを導入することで、定型的な社内情報の発信を簡素化したほか、経営陣からのメッセージをより効果的に社員に伝達することが可能になったという。
シックス・アパートでは、2005年10月より、Movable Typeの法人向け機能の開発拠点を日本に移管し、日本の顧客企業のニーズに即した機能強化を行っている。日本で開発された機能は、今後ワールドワイドに展開していく計画だ。
関氏は、「企業におけるブログの活用は、日本がもっとも進んでいる。米国に出張に行ったときに、逆に米国のプレスに取材されることもあったことから、企業向けの機能を日本で開発することにした」と話している。
Oracle対応のMovable Typeベータ版は、2005年12月中旬より提供を予定。正式リリースは、2006年第1四半期を計画している。シックス・アパートでは、Oracle対応製品のリリース後1年間で500社への導入を見込んでいる。