「移行する価値があるとは思えない」--ITIL著者が策定中の新版を批判

田中好伸(編集部)

2006-05-16 18:41

 情報システム運用管理のフレームワークであるITILの策定に携わったBrian Johnson氏は5月15日、現在策定中のITILヴァージョン3(v3)の状況などについて説明した。Johnson氏はv3について「現在のv2に準拠して活動する企業がv3に移行すべきとする理由が納得できない」と語っている。

 Johnson氏は、現在ITILの商標を所有する英商務局(Office of Government Commerce:OGC、当時はCCTA)でITIL策定に携わり、ITILの普及促進を目的とした非営利団体「itSMF」創立者・終身名誉副会長でもある。現在のJohnson氏はCAでITIL実践マネージャーを務めている。同氏は、v3の策定作業において、まとめられているv3の中身をレビューすることになっている。

Brian Johnson氏 「非英語圏の人間の視点を入れるべき」と語るJohnson氏

 その過程で同氏は「v3には、サービス戦略やサービス設計、サービス運用、あるいは健全性の確保などといった内容が含まれている。その詳細を見ると、すでにv2に含まれている内容が6割あって、企業がv2からv3に移行する価値があるのかどうか疑問を感じている」と語る。また、ITILをベースにした国際認証規格であるISO20000とv3との関係についても触れ「ISO20000はITILをフレームワークとしており、すでにISO20000を取得している企業はv3に準拠する必要はない」と説明する。

 また、Johnson氏はv3が成功するための前提条件として「安定し、明確に定義され、一貫して適切に保護された主要なベストプラクティスであり、世界中のユーザーとサービスプロバイダに信頼される」が必要であることを説明し、そのためには「国際コミュニティーに開かれた透過的な改訂プロセスで、コミュニティーと産業界からの最大の関与と支援が得られること」が重要であると語っている。しかし実際には、v2からv3への改訂プロセスでは「英語を母語としない人間がかかわっていない」(Johnson氏)という。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. セキュリティ

    VPNの欠点を理解し、ハイブリッドインフラを支えるゼロトラストの有効性を確認する

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]