フロリダ州オーランド発--SAPは米国時間5月17日、同社の中核ソフトウェアの新バージョンや企業買収、そして、パートナー企業を支援するための1億2500万ドルの投資ファンドを設立したことについて発表した。
SAPはユーザーカンファレンス「Sapphire」において、「mySAP ERP 2005」と「SAP CRM 2006」の出荷を開始したと発表した。mySAP ERP 2005はERPソフトウェアの新リリースだ。また、SAP CRM 2006はオンデマンドでも、企業内アプリケーションとしても稼働させることのできるハイブリッド製品である。
また、SAPによれば、「NetWeaver」ソフトウェア上で稼働する製品の開発を奨励するために、1億2500万ドルの投資ファンドを設立したという。NetWeaverは、SAPのソフトウェアと、他の新規あるいは既存の業務システムとを企業内で連携する。
新しい投資ファンドは、新興テクノロジを支援するために既に存在するSAP Venture投資部門を補完するものである。SAPは同ファンドによって、パートナー企業が行う開発に弾みをつけ、それによって同社のビジネスアプリケーションソフトウェアの販売を伸ばせるものと期待している。
SAPのCEOであるHenning Kagermann氏によれば、SAPは、支援するパートナー企業の一部も買収する可能性があるという。
SAPのプロダクト&テクノロジグループのプレジデントであるShai Agassi氏は、SAPがファンドの資金すべてを提供することになると述べている。同氏はまた、「われわれは、具体的な投資を行うことによってベンチャー企業を引き入れるつもりだ。計画では、7年で(投資に対する)リターンを出し、1〜2回の投資ラウンドを設定することになっている」と述べている。同氏によれば、SAPは同社が現在販売先として開拓しきれていないと思われる市場セグメントに取り組む企業への投資に目を向けているという。
さらにSAPは、マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置き、オンデマンドのSRMソフトウェアを製造しているFrictionless Commerceの買収を発表した。なお、買収条件は明らかにされていない。Frictionless Commerceは現在、ケンブリッジと英国ロンドンに約70人の従業員を抱えている。SAPは、これらのオフィスを存続させる予定を明らかにしている。SAPによれば、買収が完了する2006年7月に詳細を発表する予定だという。
SAPのCEOであるHenning Kagermann氏は17日午前に、2007年までに製品刷新を完了させる計画が順調に進んでいると述べた。同社はSOAを活用する目的で、製品ラインの見直しを2003年に開始した。なお、アナリストらによれば、SOAによって、ソフトウェアの配備や利用を簡素化できるという。
Kagermann氏は朝の基調講演において、「ロードマップは2007年に実現される」と述べた。「(SOAの)利点はすぐに現れる。われわれはここで、割合の話をしているのではなく、規模の大きさについての話をしているのだ」(Kagermann氏)
SAPによれば、今週開催されるSapphireカンファレンスの参加者として1万5000人以上を見込んでいるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ