日本オラクルと日本オラクルインフォメーションシステムズが、ついにソフトウェアのサービス化に本腰を入れる。両社は9月28日、ソフトウェアをウェブ上でサービスとして提供するSaaS(Software as a Service)モデルのCRMとなる「Siebel CRM On Demand」を10月1日より提供開始すると発表した。
同サービスは、1年前の2005年9月に米Oracleが買収を発表したCRMベンダー、Siebel Systemsによって2003年より提供されていたものだ。自社サーバへのインストール型アプリケーション「Seibel CRM」の機能を月額一定料金で利用できるというサービスで、すでに日本語化はされていたものの、国内で本格的に展開するまでには至っていなかった。
国内のSaaS分野では、セールスフォース・ドットコムなどの企業が先行しているが、日本オラクルインフォメーションシステムズ 代表取締役の村上智氏は、「オラクルの提供するCRMは、今回新しく発表したSaaS型のみならず、CRM分野で長年の歴史がある自社導入型、業務要件にあわせて自社導入とSaaSを組み合わせるハイブリッド型、大企業向けの『Seibel Enterprise』の全機能をアウトソーシングで提供するプライベートホスティング型と、さまざまなタイプでアプリケーションの展開を選ぶことが可能だ」と述べ、オラクルの強みを強調する。
また、国内では後発となったが、「他社のシェアなどは気にならない」と村上氏は言い、「シェアよりも、最も顧客に適したサービスを提供することが一番だ」とした。ただし、「競合他社のユーザー数を見てみても、Siebel製品の顧客の大手1社分程度でしかない」と、世界で約460万ユーザーを抱えるCRMベンダートップとしての余裕も見せた。
オラクルでは新サービスの開始にあたり、CRMビジネス戦略についても説明した。それは、業種別ソリューションに注力すること、数あるCRM製品の中から顧客に合った製品を提案すること、そしてこれまで積極的にアプローチしてきた大手企業市場はもちろん、中堅企業市場にも注力することだ。
これに伴い、CRM関連の営業体制も拡充する。すでに「金融営業本部」「通信メディア公共営業本部」「産業営業本部」といった業種別の組織に刷新したほか、10月からは年商100億円から1000億円の中堅企業を対象とした専任担当組織を新設する。その結果、現在60人からなる営業とソリューションコンサルタントを120人まで拡充する。
さらに、既存パートナーはもちろん、各業界で特定分野に特化したパートナーとの協業体制を強化する。その中で、CRM分野のパートナーに向けた営業支援プログラムや導入コンサルタント向けの教育などを提供する。
日本オラクルインフォメーションシステムズ アプリケーション事業統括 フロントオフィスソリューション営業統括本部 産業営業部 本部長の市東慎太郎氏は、すでにオラクルがSiebel時代からの顧客460万ユーザーを抱えていることで、数多くのフィードバックを得て常に製品を改善できていることに強みがあると述べる。今回日本で展開するSiebel CRM On Demandも、米国での2003年の発表からすでに12回目のリリースとなっており、「3カ月から6カ月という短期間でバージョンアップを続けている。このスピードはトップベンダーにしかなしえないことだ」と述べた。