--これまで「次世代機」と呼ばれていた新たなゲームコンソールが出そろい、これまでとは違った状況が生まれてきていると思います。ツールベンダーの立場で見て、日本と欧米のゲーム市場には、どのような違いがあると感じていますか。また、Autodeskとしてはそれにどのように対応していきますか。
Kripalani 任天堂のWiiやNintendo DSといったプラットフォームは、北米や欧州でも、日本と同様に成功を収めています。日本と欧米で顕著に違いがあるのは、XBOX360に関してのみではないでしょうか。
任天堂の成功は、世界のゲーム市場に、これまでと違う要素を加えたのではないかと思っています。その点で、PS3やXBOX360の展開は予想できる範囲内のものでした。任天堂が果たした役割は、ゲーム市場のさらなる拡大です。これまであまりゲームをしなかった高齢者や年少者を巻き込んだことで、結果として、市場の拡大はこれまでの予測よりも早く進み、新たなニーズが生まれるだろうと思います。
私自身もかつてはゲームの開発者であり、ある時期に市場の停滞を感じたことがありました。しかし、任天堂の成功は、技術的な限界を打破するというよりも、クリエイターの持つ創造性の領域を拡大したのではないかと思っています。
ただ、Autodeskとしては、今後もハイエンド向けのベストなツールを作ることにフォーカスしていきます。絶えず新しいテクノロジーを追い続けることが、開発者にとっては最も重要なテーマだと考えているからです。
--今後の製品ロードマップを教えてください。
Besner Autodeskでは、個別の製品についての開発タイムラインを明らかにしていません。そこで、われわれの製品をより良いものにするために、どのような分野に投資をしているかについてお話ししたいと思います。
われわれは、これまでよりも複雑な3Dシーンを開発するためのテクノロジーに投資を行っています。ゲームを開発する企業は、より早く、より安価に、より複雑なコンテンツを生み出さなければならないというプレッシャーに常にさらされています。複雑なタスクを今よりも容易にこなすためのツールが必要なのです。
例を挙げると、顧客の意見の中には「レンダリング」に関するものがあります。映画であっても、デザインの分野でも、さらなる改善が求められています。Autodeskとしては、よりインタラクティブなレンダリングを可能にすることと合わせて、より質の高いマテリアルやシェーダを提供しようと考えています。
また、先ほど話したように、顧客のタスクはより複雑になってきており、さまざまなツールが併存する異種混合型の環境への対応も求められています。Autodeskではツールやファイル形式の相互互換性を高めることで、そのニーズに応えたいと思っています。
