富士通エフ・アイ・ピー(FIP)とミラポイントジャパンは7月9日、メール基盤のASPで提携し、FIPはメールシステムのASP型サービス「メールセキュリティASPサービス」の提供を開始した。
提供開始となったメールセキュリティASPサービスは、ミラポイントの各アプライアンス製品、メールサーバの「Mirapoint Message Server」、メールセキュリティの「Mirapoint RazorGate」、メールアーカイブの「Mirapoint RazorSafe」(旧Mirapoint ComplianceVault)を利用して、メールシステムの管理・運用をFIPが担当するというもの。
サービスメニューは、オールインワンの「プランA」、セキュリティゲートウェイのみの「プランB」(9月から提供予定)、メールアーカイブの「プランC」(12月から提供予定)――の3つからなる。詳細は以下の通り(価格は税別)。
- プランA:初期費用10万円・月額費用1IDあたり500円
メール送信(SMTP)、メール受信(POP3)、メールボックス(標準容量50Mバイト)、メール転送、アンチウイルス、アンチスパム - プランB(1):初期費用5万円・月額費用1IDあたり300円
メール中継(SMTP)、アンチウイルス、アンチスパム - プランB(2):初期費用3万円・月額費用1IDあたり200円
メール中継(SMTP)、アンチウイルス - プランB(3):初期費用3万円・月額費用1IDあたり200円
メール中継(SMTP)、アンチスパム - プランC:(費用未定)
メールアーカイブ(1Gバイト単位)、検索機能、監査ログ、WORM(Write Onec Read Many)対応
プランBは、メールサーバをユーザー企業で運用しつつ、アンチウイルス・アンチスパムの機能をセキュリティゲートウェイとして利用するというもの。プランCは、AとBそれぞれの併用も可能だが、単体での利用もできる。オプションとして、ディスク容量追加、Ajax対応のウェブメールなども用意されている。
プランCは、FIPのデータセンターを遠隔地のアーカイブとして利用することになるが、既存のメールリレーの経路に変更を加える必要がない。これは、「ジャーナル方式」と呼ばれる方式を利用するためだ。ジャーナル方式では、メールサーバでアーカイブ専用のアカウントを作成し、メールサーバで複製の設定を行い、POP3(s)で定期的に取り込むというものになる。
これらのサービスは、物理サーバを複数のユーザー企業で利用する共用型だが、FIPでは、単独のユーザー企業だけで利用する専用型も計画している。専用型では、IMAP4での利用、Active Directoryなどの認証基盤との連携が可能という。また、Message Serverの遠隔地レプリケーション機能「Remote Site Replication」を利用できるとしている。
FIPのアドバンストビジネス推進部の寺川真理氏は、今回のサービス提供の背景について、「メールは重要なコミュニケーションツールだが、その一方でウイルスやスパムなどのセキュリティ問題を抱えている。加えて、日本版SOX法などのコンプライアンスにも対応する必要が出てきている」と語る。
「メールシステムを簡単には止められないし、情報漏洩を防がなければならないし、さらに監査証跡を確保する必要もある」(寺川氏)
当然メールシステムの管理・運用にかかるコストは増大してきている。そうしたなかでメールシステムを「自社で所有することが限界に近づきつつある。管理・運用の新しい形態を模索する時代になっている」(同氏)という。
こうした認識に基づいたのが、FIPとミラポイントの提携だ。ミラポイントのコーポレート&チャネルマーケティングマネージャの東藤貴子氏は、寺川氏が示した課題を解決できるものは「アプライアンスとASP型サービスの組み合わせ」としている。
「ある調査によれば、ASP型サービスは2003年から約30%以上の成長を遂げ、2010年には1兆5390億円に拡大すると予測されている。またメールに関連したASP型サービスでは、法制対応や改竄防止、履歴管理、通信記録の集中管理といったニーズが高まっている」(東藤氏)
FIPは、今回のメールセキュリティASPサービスを提供する以前から、ミラポイントの各アプライアンスを単体で販売し、運用管理もこなしていた。その中で、FIPでは、日本航空(JAL)から計4万アカウント、横浜ゴムから5000アカウント、というメールシステムのアウトソーシングを受託している。そうした実績を踏まえて、ミラポイントのアプライアンスを利用したASP型サービスを提供しているのである。