Appleはこれまで常にオープンソースに好意的な企業だった。実際、同社はウェブサイトで次のように宣言している。「当社は、オープンソース開発が現行ソフトウェア戦略の重要な部分を占めている初の大手コンピュータ企業です。Safariブラウザから卓越したMac OS Xオペレーティングシステムに至るまで、Appleはしんまでオープンソースです」(「リンゴのしん」というしゃれは偶然である)
その通り、Appleはオープンソースプロジェクトを製品に取り入れている(詳細はここを参照)。しかし、同社のオープンソースの採用は自社による開発にとどまらない。Appleはオープンソースソフトウェアの積極的な購入者でもある。私はAppleと取引しているオープンソース企業を何社か知っている。
したがってAppleはコードとキャッシュの両面でオープンソースコミュニティーに貢献しているのだ。多くの事柄が不透明だが(非常に秘密主義の強い企業だ)、Appleは(私の偏見では)オープンソース界の「善良企業」であることは間違いない。
しかし、疑問なのは、Appleとオープンソースにとって次に何をするべきかという点である。
- (オープンソース)開発者のネットワークを拡大する 。
- 「OpenOffice(NeoOffice)」に投資する 。
O’Reillyのいずれかのカンファレンスに5分間でも出席すれば、「Mac」が幅をきかせていることに気づくだろう。なぜか。Macは格好よく、かつ、パワフルなマシンであり、すばらしい開発プラットフォームになるからである(常にターミナルコマンドラインを手元で使用できる)。Appleは製品計画については秘密主義を貫くかもしれないが、サードパーティーの開発者に対してはそのような沈黙の掟を課す必要はない。もう少しオープンなAPIがそろえば、Macや「iPod」、「iPhone」は多くのオープンソース開発者が好んで選択するプラットフォームになりうる。
私がMacに移行できた唯一の理由は、Microsoftが「Office」製品をMacでも動作するように移植してくれたからだ。Macが市場シェアを獲得し続けるにしたがって、Microsoftは競争相手を利する行為にますます不安を覚えるようになるのではないかと私は見ている。なぜなら多くの資金がMac+OfficeよりもWindows+Officeに拘束されているからである。したがってAppleは、Macで動作するMicrosoft Officeに代わる信頼性の高いオフィス製品を持つ必要があるが、「iWork」はそれに該当しない。いくつかのすばらしいオプション機能を搭載しているが、Apple本来の水準には達していない。
一方、OpenOfficeはようやくすばらしい製品になってきた。私は何年もの間OpenOfficeが嫌いだったが、今ではプレゼンテーション作成を気に入って使うようになった。表計算ソフトは好きでも嫌いでもない。IBMはOpenOfficeのエンタープライズ的な側面に労力を費やしているが、Appleならもっとスタイリッシュに仕上げることができるだろう。オフィス生産性スイートという車輪を再発明するのは無意味だ。むしろ効果的にコモディティ化してさらに前進するべき時期に来ている。