サイベースは12月5日より、災害やシステム障害が発生した場合に、業務継続を支援する2種類のソフトウェア新製品「Mirror Activator(ミラー・アクティベータ)」および「ディザスタ・リカバリ・パッケージ」の出荷を開始する。
両製品は、稼働中のSybase Adaptive Server Enterprise(ASE)システムに対して、災害対策用複製データベースの維持、運用の機能を付加するもの。非同期トランザクション転送方式を採用することで、データベースの一貫性を保証するほか、更新差分のみの転送によりネットワーク負荷を低減できる。また、稼働系、待機系共に常時稼働するため、障害発生時の高速フェールオーバーが可能という。
ストレージベンダーが提供する従来の障害対策ソリューションと比較した場合、RDBMSのバックアップにおけるビジネスレベルでの一貫性が、高いレベルで維持されるというメリットがある。加えて、EMC、IBM、シマンテック、日立製作所などが提供するストレージレプリケーション技術と、これらの製品を連携させることで、ログの同期転送が可能となり、さらに高速なフェールオーバーを実現できる。これにより、高い可用性の提供が可能になるとしている。
「ディザスタ・リカバリ・パッケージ」は、Sybase Replication Serverの機能を活用して、本番システムのデータベースから、待機システムのデータベースへ、データの複製を作成するソリューション。データやトランザクションの整合性を保ちつつ、データベースの複製を行えるという。ライセンス価格は1CPUあたり、389万9000円。
一方の「Mirror Activator」は、システム障害時にデータベースの整合性を保証するソフトウェア。データベースの変更履歴を記したログのみを本番システムのプライマリDBから待機システムのセカンダリDBに転送し、これを反映してデータの同期をはかる。ログ転送のみによるデータレプリケーションを行うため、通信帯域の最小化が図れるという。ライセンス価格は1CPUあたり、1462万5000円。
両製品とも、SPARC Solaris、Windows、Linux、HP-UX、AIX上で動作する。
サイベース、マーケティング本部本部長の冨樫明氏は、ここ1〜2年の傾向として、消費者が自らの不利益に敏感になっており、行政も、企業の保護や育成から、消費者の保護と利便性の確保に政策を転換しているという現状を指摘。社会的責任の観点からも、リスクマネジメントの範囲の拡大に対応した、ディザスタリカバリシステムの見直しが、トップダウンで進み、また、その取り組みを公表する企業が増えていくだろうとの考えを示した。
「自社のシステムが稼働不能になった場合、顧客から取引先まで含めた大きなサプライチェーンの中で、すべての利害関係者がどれだけの損害を被るリスクがあるのかを考え、自発的に公益を損なわない仕組みを構築すべき。サイベースの務めは、ASEユーザーの様々なレベルのディザスタリカバリ要求に対して実現可能なソリューションを準備することだ」(冨樫氏)