生産管理で国内No.1の実績
カード型データベースや日本語ワープロソフトなどで1980年代の日本のPCソフト市場に存在感を示したリード・レックスは、現在その軸足を生産管理に移している。売り上げでいえば50億〜300億円くらいの、いわゆる中堅中小の製造業に的を絞っている。
「お客さんは自動車、電機、機械など組み立てや加工業が中心です。パッケージを核に、コンサルテーションやアドオンのプログラムで、一式2000万円から2億円くらいまでのビジネスが多いですね。生産管理ですでに13年の経験がありますが、これまで530社ほどの実績があります」
創業以来一貫して同社を牽引してきた社長の梶山桂氏の言葉だ。ここでいうパッケージは、完全ウェブ対応の生産管理向けシステム「R-PiCS V3」である。データベース層とアプリケーション層を分離することで、完全ウェブ対応している。日本語、英語、中国語の多言語対応で、複数の生産拠点や営業拠点で発生するデータの一元管理が可能。また、ビジネスオブジェクトがコンポーネント化され、統合型パッケージでありながら顧客の業務に合わせシステムの柔軟な組み換えもできる。国内では生産管理システムとしてシェアNo.1の座に君臨しているという。
ただ、このパッケージが核とはいっても、それだけで生産管理が回るわけではない。前段階のコンサルテーションからシステムインテグレーション(SI)、そして運用保守まで長いフェーズがある。そこで同社はコンサルタント35人を抱え、エンジニアによる顧客のニーズに合わせたアドオンのプログラム開発から、運用保守モデルまで作り上げ、顧客に引き渡している。
「その中でも、アドオンによるカスタマイズの一番のポイントは原価計算をどうするかという問題ですね。原価計算は利益を出すための戦略であり、経営の根幹にも関わる問題だと思うのです。原価計算というとその手順が決まっているような感じがするものですが、会社によって全然違います」
その顧客の経営戦略にまで密接に関わる部分をカスタマイズとして作り上げるというのが同社の特徴であり、国内シェアNo.1という数字に裏打ちされたエンジニア力、ノウハウということになる。
マイクロソフトに負けて下した決断
同社が、当初のPCソフト市場から現在の生産管理に軸足を移した背景には、マイクロソフトに破れたという苦い教訓がある。たとえば一世を風靡したカード型データベースの「DataBox」は、「Excel」が出たらとたんに勢いを失ったという。