神田氏は、「たとえば、ブログは2012年末には2200万サイトになるといわれている。このブログの中から、自分たちの会社の製品に関する書き込みを見つけ出し、管理することは容易なことではない」と話している。
また、約8割にのぼる企業コールセンターでは、ユーザーからの苦情をデータベース化して管理している。しかし、数値化されていないために分析することができない。神田氏は、「こうした定性情報を、いかに“見える化”するかが、今後のBIソリューションにおいて最大のポイントになる」と言う。
NRIでは、このような定性情報の分析ニーズが飛躍的に増えていくことを想定し、統合型テキストマイニング分析システム「TRUE TELLER(トゥルーテラー)」を製品化した。
TRUE TELLERは、コールセンターの問い合わせ分析やアンケートのフリーコメントの分析、インターネット掲示板の分析などを行うテキストマイニングツール。英語や中国語にも対応し、レポート作成作業を大幅に削減すると共に、新たな仮説を導き出すことが可能になる。
いくつかの調査会社が発表しているBI市場調査では、テキストマイニング分野においてTRUE TELLERがナンバーワンのシェアを獲得していると報告されている。
「TRUE TELLERの開発当時、テキストマイニングというと、主に、情報検索のための技術を指す事が多かった。しかし最近では、単なる検索技術ではなく、文字情報を定量化し、マーケティングや品質管理に用いる企業が急増している」(神田氏)
経営層向け情報の質と量を強化
NRIの強みは、これまでのコンサルティングのノウハウを生かした指標(KPI)の設定も可能なこと。テキストマイニングに限らず、BI全体の仕組みを正しい指標と共に構築できる。例えば、メーカーではある一定量のリスクワードを含むとアラートがあがるようになっている。
「経営者などは、“見える化”されないと状況が分からず、状況が分からないと正確な指示を行うことができない。指示ができないと業務を改善することができないという、悪循環になる。そのため、BI構築では、指標作りも非常に重要なポイントになる」と神田氏。
こうしたデータマイニングにおける一連のロジックやテンプレートなどを部品として持っていることもNRIの強みのひとつ。この部品を顧客の要求にあわせてカスタマイズすることで短期間かつ低コストでBIシステムを構築できる。
2008年におけるBIソリューションの展開としてNRIでは、2つの方向性を考えている。
- 経営層向け情報の質と量の強化
- 定量情報と定性情報の連携
これにより、たとえばメーカーであれば、出荷台数や売上予測のような定量情報と、コールセンターに寄せられる問い合わせやインターネット上の風評などの定性情報の関連性を読み解く仕組みを実現できる。
神田氏は、「我々は、意思決定支援のための情報分析をBIと位置づけている。2008年は、2つの方向性でBIソリューションの連携、強化を推進していきたい」と話している。