Cisco SystemsがPtoPインターネットテレビの新興企業に投資していた。
新興企業のGridNetworks(本拠地:ワシントン州シアトル)はCiscoが、2007年10月に発表されたGridNetworksの950万ドルのシリーズAラウンドの資金調達で出資した2つの「戦略的投資家」の1つであることを発表した。資金調達が最初に発表されたときに指名された主幹投資家はベンチャーキャピタル企業のPanorama Capital(本拠地:カリフォルニア州メンロパーク)だった。
2006年11月にサービスを開始したGridNetworksは、高品位の映画とテレビ番組をインターネットで配信するためにPtoP技術とコンテンツ配信技術の両方を組み合わせたアプローチを採用している。PtoPはインターネットのあちこちに接続されたユーザーのコンピュータに分散されているコンテンツを活用するものであり、コンテンツ配信技術は基本的にコンテンツをインターネットの各所に接続されたサーバファームにキャッシュおよび格納し、地理的に近いクライアントに対してより高速に配信することを可能にするものだ。
GridNetworksのソフトウェアクライアントは「Gridcast Connector」という名称であり、PCにインストールする。そして、コンテンツの要求時にこのクライアントがコンテンツを供給するのに最も適切なピア(他のユーザー)を探す。このソフトウェアはコンテンツ配信技術を利用してテレビ番組や映画の最初の約30秒をバッファしている。
Ciscoは2、3年前からビデオに力を入れている。そして最終的にGridNetworksのテクノロジをCiscoのScientific Atlanta製ケーブルセットトップボックスおよびLinksys製ホームルータとうまく適合することができた。インフラストラクチャの面では、Ciscoはビデオオンデマンド製品も提供している。Ciscoは2006年に9200万ドルでArroyo Video Systemsを買収した。CiscoはArroyoの技術を使用して、インターネットビデオを直接セットトップボックスに配信する計画だ。そしてこの技術によってCiscoは高品位ビデオをより効率的に配信することが可能になるかもしれない。
Ciscoは世界最大のインターネット機器のプロバイダーである。そして、CiscoがPtoPビデオプラットフォームを開発している企業に投資していることは大きな意味を持つ。
PtoPは、デジタルによる著作権侵害者が盗まれたコンテンツを配布するために利用する有害な技術としてこれまで評判が悪かった。また、ブロードバンドネットワークを渋滞させる元凶とされた。ケーブルテレビ会社のComcastは2007年、ネットワークの管理を効率化するために一部のPtoPトラフィックを遅延させていたことを認めた。Comcastは現在米連邦通信委員会(FCC)から詳しい調査を受けており、FCCはComcastの慣行がネットの中立性の原則に違反していないか検討している。
他のキャリアもPtoP技術の使用に懸念を表明している。Time WarnerはPtoPアプリケーションを使用しようとするユーザーの動機を弱めるために料金別コースをテストしていると述べた。
しかし、多くのネットワーク技術の専門家が、PtoPは実際にはビデオ(特にストリーミングするとネットワーク全体で多量の帯域幅を消費する高品位ビデオ)を配信するための最善かつ最も効率的な技術であると述べている。Ciscoが新興のPtoP配信プラットフォームに投資したことによって、ネットワークをさらに効率化する技術の開発が迅速化される可能性がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ