進化するテレビ会議(7)--単純には進まなかった会議システムのIP化

橋本啓介(CNAレポート・ジャパン) 2008年03月27日 12時00分

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 筆者の前回までのコラム(ホウレンソウと遠隔会議システムの深い関係ビジュアルコミュニケーションの歴史)では、会議システムの企業での役割と現在に至るまで会議システムがどう進化してきたかについて説明してきた。これから3回は製品やサービス、そして、それを支える技術などにフォーカスして議論を展開していこう。

シンプルだったISDN時代

 通信ネットワークの動向と企業でどのようなネットワークが採用されるかは、これまでテレビ会議システム、ウェブ会議システムの技術の進化、およびその方向性に大きな影響を与えてきた。それは、テレビ会議システムやウェブ会議システムがネットワークを通して通信するための技術として開発されてきたからだ。

 1990年代ISDNが普及するとともに、それを受けてISDN(H.320)に対応したテレビ会議システム専用端末が多数開発された。その後インターネットの普及は、テレビ会議システムのIP化(H.323)を後押しすると同時に、PCをベースとしたウェブ会議システム登場の契機になった。その中でテレビ会議システムは、ネットワークへの親和性と相互接続性を重視しつつ、一方ウェブ会議システムは、インターネットアプリケーションのひとつとして開発されてきた。

 テレビ会議システムのISDN時代の技術は、ある意味非常にシンプルだった。基本的に製品としては、端末と、3拠点以上同時にテレビ会議を行うための装置である多地点接続装置(Multipoint Control Unit:MCU)程度しかなく、後はそれらをISDN回線に接続すればテレビ会議は行えた。またISDNは回線交換方式のため、ベストエフォート型のIP網のようにQoS(ネットワークの品質保証の仕組み)などについてはあまり考える必要はなかった。

相性が悪かったIP網への対応

 ところが、IP網によって、テレビ会議システム技術は大きく変わる必要性が出てきた。なぜなら、パケット通信を基本としたIP網は本来、テレビ会議システムのような双方向リアルタイム通信技術を想定していなかったからだ。

 メールやバッチ処理のデータなどと違い、双方向リアルタイム通信技術はIP網がもつ遅延やルーティングなどによる不確実性を嫌う。その上、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスをまたいだ通信やファイアウォールといったネット上の仕組みも、双方向性通信技術とあまり相性が良いとは言えない状況があった。


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