SAS Institute Japanは5月26日、同社のビジネスインテリジェンスプラットフォームの最新版「SAS 9.2」を第3四半期以降、日本市場へ投入すると発表した。
SAS 9は、データの統合、蓄積、統計的手法による高度な予測分析、データの可視化、共有など、ビジネスインテリジェンスの実現に求められる一連のプロセスを包括的に提供するプラットフォーム製品。SASが戦略的な情報活用にあたって必要と考えるあらゆるデータ資産をメタデータ化し、それによるプロセス統合を行う「統合メタデータアーキテクチャ」を実現したバージョンにあたる。
最新バージョンとなるSAS 9.2では、このコンセプトを推し進め、同社が標ぼうする「戦略的インテリジェンス基盤」としての価値を高める各種の機能強化が行われるという。64ビットプラットフォームのネイティブサポート、z/OSへの対応、Windows Vistaのサポートといった形でサポートプラットフォームが拡張されるほか、各種仮想化技術およびJavaアプリケーションサーバへの対応強化が行われる。そのほか、分析機能、ユーザーインターフェース、導入や管理運用面でも、複数の改善、機能強化が施される。
SAS Institute Japan代表取締役社長の吉田仁志氏は、企業をとりまく環境の変化が激しくなる中で、多様化する経営課題の実現を目指した情報の戦略的活用が高度化していると説明。しかしながら、企業の戦略的ITへの投資額は、IT予算全体の10%前後で推移しているという調査結果に触れ、企業において戦略的なIT投資は必要と認識されているにもかかわらず「どうすればいいのか分からない」状態にあると指摘した。
吉田氏は、SASが標ぼうする「戦略的インテリジェンス基盤」は、情報の「見える化」から、「分析」「予測」「最適化」までの全フェーズを包含する機能を備えるものであり、そこから企業が得られる競争力を「予見力」であるとする。
「企業が真に求めている情報活用とは、予見力を備えたBIソリューションであり、レポーティングなどと呼ばれる従来のBIツールのように、見える化実現のための単体のツールではない」(吉田氏)
こうしたユーザーニーズは、近年激しさを増しているBIツールベンダーの吸収合併、再編成の動きを見ても明らかだが、吉田氏はそうした動きを「ベンダー側の都合で行われるものであり、真にユーザーのメリットを考えたものではない」と一蹴(いっしゅう)。買収による製品ポートフォリオの補完が「真の統合」につながるかについては懐疑的であるとのSASの立場を改めて明確にした。