SIビジネス、システムプラットフォームが伸張する富士通
富士通は売上高が前年4.5%増の5兆3308億円、営業利益が12.6%増の2049億円、経常利益が10.5%増の1628億円、当期純利益が53.0%減の481億円となった。
同社 代表取締役副社長の小倉正道は、「製品価格の低下継続のほか、買収によるのれん代の償却、先行投資や海外での不採算プロジェクトなどの負担があったが、営業利益は年初計画の1900億円を上回った。一方で最終減益はLSI事業の再編に関わる損失や、株式市況の低迷によるSpansionの評価損のほか、2004年度以前に計上した繰延税金資産に対する評価性引当金の一部として約180億円の戻し入れを行ったことなどが影響した」と述べている。
業種別では、テクノロジーソリューションの売上高が3.6%増の3兆2722億円、営業利益は10.1%増の1801億円となった。そのうち、システムプラットフォーム事業は売上高が1.3%増の7128億円、営業利益は322億円増加の397億円と大幅に改善した。サン・マイクロシステムズとの統合ブランド製品「SPARC Enterprise」の販売開始により、UNIXサーバーを中心に売り上げが拡大。北米市場での光伝送システムの伸張、コストダウン効果や費用の効率化などが貢献したという。また、サービス事業は売上高が4.3%増の2兆5593億円、営業利益は156億円減の1454億円となった。ドイツや北欧地区における買収による事業拡大効果のほか、金融・ヘルスケア分野を中心としたSIビジネスやアウトソーシングサービスなどの伸張が増収に貢献した。一方で、国内ITインフラ構築の標準化、自動化の推進や、コンサルティング強化のための先行投資による負担増、英国での一部プロジェクトの不採算損失の引き当て、買収に伴うのれん償却負担増などが響いた。
PCおよび携帯電話を含むユビキタスプロダクトソリューションは、売上高が前年比6.3%増の1兆1889億円、営業利益は26.2%増の525億円となった。PCの増収効果、部品のコストダウン効果などのほか、下期には垂直磁気記録方式HDDの新機種を本格的に投入したことがプラスに影響した。
2008年度の業績については、売上高が前年比0.4%増の5兆3500億円、営業利益が7.3%増の2200億円、経常利益が13.6%増の1850億円、当期純利益が107.9%増の1000億円との見通しを示している。
国内外においてアウトソーシングビジネスなどのサービスビジネスや、HDDなどが伸張するものの、為替変動によって外貨建て売上高が円換算で約2000億円減少すると予想しているという。