低迷が続く国内PC事業
前回は薄型テレビ事業から電機各社の2008年を読み解いた。最終回となる今回は、もうひとつの視点として、主要メーカーのPC事業を見てみよう。
Windows Vista発売以降も国内PC市場全体では低迷が続いているが、海外PC市場の伸張にあわせて事業を拡大しているメーカーが目立つのが特徴だ。
国内最大シェアを誇るNECは、国内PC出荷台数が前年比2%減の267万台。Windows Vistaを擁した1年となったが、出荷台数は2年連続での減少となった。
同社では「トップシェアは確保したと考えている。また、メモリ価格が下落するなど、部材価格が好環境下で推移したことで、PC事業の黒字幅が拡大した」と語る。
また、2008年度は「生産革新活動の成果などにより安定的な黒字確保に向けた施策を展開するとともに、Luiによる新市場開拓に挑むことで、売上高は4%増の5550億円、営業利益は約100億円を見込む」と意気込みをみせている。出荷台数も前年比3%増の275万台とし、3年ぶりの成長を計画する。
富士通は国内向け事業が堅調に推移したほか、北米、アジアで成長。今後も製造から物流まで徹底した改善および効率化を進め、高品質な製品をいち早く市場に投入できる体制を構築していくという。
PCの出荷台数は2007年度実績で4.3%増の881万台。2008年度の計画は5.6%増の930万台とした。
VAIOが好調なソニーは、2007年度にPC事業で過去最高の利益を達成した。
大根田氏によると「Blu-ray Discドライブ搭載の高付加価値モデルの販売が好調であったことが影響している」ほか、海外での販売が増加したことが貢献しているという。
VAIOの販売台数は前年比30%増の520万台。2008年度は31%増の680万台を見込む。
東芝は台数ベースでの目標は公表していないが、2007年度のPC事業の売上高は7%増の1兆404億円、営業利益が497%増の412億円。2008年度は6%増の1兆1000億円、営業利益は27.2%減の300億円と見込んでいる。
西田氏は「2007年度は1兆円を突破し、収益も大幅に拡大した。PC事業のさらなるグローバル展開と、当社の先進技術の搭載による差異化製品の投入によって、事業拡大を図っていく」と強気の姿勢を見せている。
なお、コンシューマPC事業からの撤退を発表している日立製作所は、2007年度実績で前年比31%減の482億円となった。