Notesマイグレーションを経営改革の手段に
ここまで、「相互運用性の確保」と「情報の質的向上」という視点で、今後の企業コラボレーション基盤のあり方を考えてきたが、さらに吉田氏は、Notesの改革をきっかけとして経営改革まで踏み込むべきだと強調する。
そもそも、Notesが扱っていた範囲は、ワークスタイルのありかたや経営課題に踏み込んだ、経営上重要なインパクトを与える部分であったはずだ。Notesマイグレーションプロジェクトを経営改革の手段に位置づけることで、単なる「バージョンアップ」というレベルを超えた、全社の業務改革、あるいは企業風土の改革というべきものにまで投資根拠を高められるという。
リアルコムでは、企業のNotes改革プロジェクトにおいて、「GIS(Goal、Issue、Solution)ツリー」の概念を用いることが多いという(図1参照)。抱えている課題(Issue)を明らかにした上で解決策(Solution)を導きだし、それを実施することでプロジェクトの目的(Goal)を決定するという逆説的なアプローチだ。
「ITによるコラボレーションで業務を改善しよう」というのは解決策の部分。しかし、解決できる課題はフレキシビリティやコストが改善するといった単純なものではなく、社員のワークスタイルを変える、あるいは現場のナレッジをどのように吸い上げられるかという範囲にまでおよび、結果的には、より大きな経営課題へアプローチができるという流れになる。
Notesマイグレーションのプロジェクトにおいては、バージョンアップ、他社製品への移行、もしくは併存のどの選択肢を選んでも、結果的にコストがかかるのは一緒。であれば、保守切れのNotesの更新問題をきっかけとして、ITコラボレーション基盤の刷新による経営課題の解決といったゴールにまで課題を拡大すれば、得られる効果はより大きくなり、稟議も通りやすいということになる。